土木講座_2級土木合格を超えて 

 第1部 土木一般

第1章 土工 

第1節 土質調査・土質試験

土木工事の主要な工種に、土工がある。土を掘削したり、運搬したり、敷均し(ほぼ均等な厚さの層にして広く土を広げること)をしたり、あるいは盛土(「もりど」と読む。土を高く積み上げること)をして締め固め(土にある空隙をなくすためたたいたり重い物を載荷したりすること)をしたりすることを土工という。

土工の材料は「土」である。土はその生成場所(火山から噴出したのか、海底に堆積したのかなど)や、生成から現在までの歴史(洪水を受けたり地震によって断層ができたりする事)で、性質が違っている。ある目的、たとえば堤防には水を通しにくい土がよいなど、目的に合った性質の土が必要である。
土の性質を知り、目的に沿った取り扱い方法を求めるために、調査し試験を行う。それらを総称して土質調査・土質試験という。

ここでいう「土」は、「畑の土」とは少し違う。「畑の土」は「土壌」と言って、その性質は農業などでは重要だが、土木の場合は材料に考えない。あとで見る土質柱状図(その場所の土がどのような層構成をしているかを表した図表)などでは「表土」と一括して、土木工事においては取り除くものと扱う。

土質調査や土質試験を施工現場の土木技術者が行う事は今ではあまりないが、試験方法や試験の結果の意味するところに関する知識を身につけていることは必須事項である。

なお、土木という言葉の語源は、土木学会関東支部のサイトのこのページにあるので興味のある方は参照のこと。

(1) 原位置試験

土の性質を知る土質調査・試験には、土木工事の行われるその場(現地)で行う試験と、その場で採取した土資料などを持ち帰り、実験室でその土資料を使って試験する室内試験とがある。

前者を原位置試験といい、この場合は施工に従事する者が直接試験することも多い。土木工事は現地一品生産であるから、現場での調査・試験が重要なことは言うまでもないが、複雑な試験や、時間を要する試験などは現地のみではできないので後者となる場合もある。これについては、専門の技術者が試験を行うことになり、施工技術者の元には報告書の形でもたらされる。従って、施工者には報告書を読み取る知識が必要とされる。

原位置試験の主なもの(試験によく出題されるもの)を、その名称、得られる値(測定値)、得られた値を利用する方法、としてまとめると表1.1.1の様になる。

  表1.1.1 主な原位置試験(土工の調査対象)   
   試験の名称  得られる値 利用する方法  備考   
   標準貫入試験  N値  土層の硬軟・締まり具合の判定  JIS A 1219  
   現場透水試験  透水係数 k〔p/s〕  地盤改良工法選定    
   スエーデン式サウンディング試験  半回転数 Nsw〔回〕  土層の硬軟・締まり具合の判定  JIS A 1221  
   ポータブルコーン貫入試験  コーン指数 〔KN/m2  建設機械の走行性(トラフィカビリティ)の判定    
   オランダ式2重管コーン貫入試  コーン指数 〔KN/m2  土層の硬軟・締まり具合の判定  JIS A 1220  
 建設機械の走行性(トラフィカビリティ)の判定
   ベーン試験  細粒土せん断強さ c〔N/mm2  細粒土の斜面、基礎地盤の安定計算    
   弾性波探査試験  伝搬速度 ν〔m/s〕  岩の掘削、リッパ作業の難易    
   電気探査試験  土の電気抵抗 R〔Ω〕  地下水位状態の推定など地層の分布構造把握    
   単位体積質量試験  土の湿潤密度 ρ  締固めの施工管理  砂置換法
(JIS A 1214)など
 
 土の乾燥密度 ρd
   平板載荷試験  地盤係数 K  締固めの施工管理  JIS A 1215  
   現場CBR試験  CBR値 〔%〕  締固めの施工管理  JIS A 1222  

いくつかの試験には少し詳しい説明や写真へのリンクを張ってあるから参照されたい。2級試験の対策としては、試験の名称とそれによって得られる値及びその値が何に利用されるかをよく理解しておくことが求められる。

(2) 試料の採取

土の粒度など、現場では測定できない性質を知るために、試料を採取して持ち帰り、室内試験を行う。この試料採取をサンプリングという。
サンプリングを行う際、試験の目的によって、土を原位置における構造や含水量を出来るだけ保持して採取する場合と、保持されていなくても良い場合がある。前者を「乱さない土」後者を「乱した土」と称する。
表1.1.2は、試料採取方法のまとめである。

  表1.1.2 サンプリング方法   
   サンプリング土  サンプリングの方法 調べる性質   
  乱した土 スコップなど(地盤の浅いところから採取)
ハンドオーガー(地盤の浅いところから採取)
標準貫入試験用サンプラー
土の物理的性質
(粒度、液性限界、塑性限界、土粒子の密度など)
 
  乱さない土 ブロックサンプリング(地盤の浅いところから採取)
サンプラーによる採取(地盤の深いところから採取)
凍結サンプリング(砂や礫質土の採取)
土の力学的性質
(土の圧縮性、強さなど)
 

(3) 室内試験

採取した試料を、試験室において試験し、種々の性質を知る。2級試験の場合、試験方法の詳細までの知識は出題されないが、得られた値の利用方法は出題されるので表1.1.3にまとめておく。それぞれの試験の内容については、土質力学等の書籍を参照していただきたい。

  表1.1.3 主な室内試験(土工の調査対象)   
   試験の名称  得られる値 利用する方法   
   含水比試験  含水比 w〔%〕  盛土の締固め管理  
   土粒子の密度試験  間隙比 e
 飽和度 Sr〔%〕
 盛土の締固め管理  
   砂の相対密度試験   間隙比 emax   砂の液状化判定   
   粒度試験   均等係数 Uc  土の分類   
   液性限界試験   液性限界 L〔%〕  細粒土の安定  
   塑性限界試験   塑性限界 〔%〕  細粒土の安定  
   一軸圧縮試験  一軸圧縮強さ qu〔MPa〕  細粒土の支持力  
   三軸圧縮試験  粘着力 C〔MPa〕  地盤の支持力  
   直接せん断試験  内部摩擦角 φ  斜面の安定  
   締固め試験  最適含水比 Wopt〔%〕
 最大乾燥密度 ρdmax〔g/p
 盛土締固め管理  
   圧密試験  圧密係数 v
 圧密係数 Cv
 沈下量、圧密時間   
   室内CBR試験  CBR値 〔%〕  舗装の構造設計   
   室内透水試験  透水係数 k〔p/s〕  透水量の算定  

(4)土の判別と分類

以上のような試験を行って行くと、土がどのようなものか判別できる。現場の土の試験結果を、既知の土の性質と比較することによって、その知見をより詳しく現場の施工計画に活かす事ができる。

詳細は前述のように、しかるべき「土質力学」の文献に当ることによって得られるから、ここでは必要最小限の知識をまとめておく。

@ 土の粒径

土粒子の粒径(大きさ)によって、土の呼び名が変わる。下図の名称と粒径は記憶していただきたい。

 
 図1.1.1 土の粒径による分類

A 粒径加積曲線

粒度試験は、土粒子が土全体に占める割合の質量百分率を求める試験であるが、この結果から得られた粒径の分布状態を表したのが図1.1.2粒径加積曲線である。

粒度による土の一般的特徴


@ 細粒分が多い土
A 粒径が狭い範囲に集中している(分級された)締固め特性の悪い土
B 粒径が広い範囲にわたって分布する(粒径幅の広い)締固め特性のよい土
 図1.1.2 土の粒径加積曲線

B 土のコンシステンシー


細粒土はそれに含まれる水の割合(含水比)によって性状が変化する。含水比が大きくなれば泥となり液状を示す。この場合は流動性があるが、含水比が減少するに従って粘性を増し、塑性状になる。さらに乾燥させると半固体状を経て固体状になる。
この際、土の体積も変化し、液状から半固体状になれば体積は縮小する。しかし、固体状になると、それ以上体積が縮小しなくなる含水比が存在する。

土が含水比の大小によって示すこれらの性質を、土のコンシステンシーという。含水比には、先の性状が次の性状に移り変わる限界があり、この境界の含水比を、それぞれ「液性限界(図1.1.3(C))」「塑性限界(図1.1.3(B))」「収縮限界(図1.1.3(A))」という。

土が塑性を保つ含水比の範囲は、液性限界と塑性限界の差で示され、これを塑性指数(IpWL−Wp)という。
 図1.1.3 土のコンシステンシー  

以上の事柄を、リンク先の参考資料も含めてしっかりと勉強すれば、2級試験はもとより、現場における土の問題への対処にも役に立つであろう。

以下の写真は参考のため、室内試験のうちのいくつかを示している。写真3粒度試験(沈降試験)は、ふるい分け試験のふるいの網の目に止まらないような細かな土粒子(具体的には図1.1.1のシルト、粘土)を、水中の沈降速度によって分類する。
   
 写真1 一軸圧縮試験状況 写真2 粒度試験(ふるい分け試験) 写真3 粒度試験(沈降試験)
   
 写真4 室内CBR試験(突き固め状況)  写真5 室内CBR試験(水浸状況)  写真6 室内CBR試験(貫入状況) 

写真4〜5は室内CBR試験(JIS A 1211)である。 現場CBR試験とは異なることを理解する。

 
図表の出典 
 表1.1.1  筆者作成
 表1.1.2  筆者作成 
 表1.1.3  筆者作成
 図1.1.1  地盤工学会 土質試験 基本と手引き(第1回改訂版) p27 2001年 
 図1.1.2  地盤工学会 土質試験 基本と手引き(第1回改訂版) p27 2001年 
 図1.1.3  地盤工学会 土質試験 基本と手引き(第1回改訂版) p39 2001年
 写真1〜写真6  筆者蔵 

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