土木講座_2級土木合格を超えて 

 第1部 土木一般

第1章 土工 

第3節 盛土の施工

土工すなわち土を扱う工事では、大別して「切り土(きりど)」と「盛土(もりど)」がある。切り土は地山を切り取って形作ることで、掘削の一種であるから、掘削工ところで学ぶこととする。

下の写真(図1.3.1)は、高速道路ジャンクションの工事現場である。
右手前側の丁張り(ちょうはり:盛土や切土を完成させるのに用いる目安の定規で、木杭とそれに水平もしくは斜めに打ち付けられた板で構成され、等間隔に設置されるのが一般的。)部分が切り土、重機の乗っている箇所が盛土作業中である。

盛土は、土を材料として土構造物を作る作業である。そのため、材料の吟味や、施工途上の管理など学習すべき事が多い。

盛土の基礎地盤が軟弱では、盛土構造物の安定がなりたたない。この場合は軟弱地盤対策工を施す。盛土の端部は通常斜面(「法面(のりめん)」と呼ぶ)とされる(擁壁などの他の構造物のば場合もある。それらは別に学ぶ。)から、雨水などによって流出しないように法面保護工を施す。これらについても学んでいく。

このうち、盛土の施工では、盛土材料と盛土の締固めに関する事項が必須である。

実際の工事における盛土の施工はかなり難しい。土は、先に述べたような試験を厳密に行っても、元々均一な材料ではないので大量(大規模な盛土)になればなるほど、採取の場所(土取り場)や締固め管理の巧拙の影響が現れてくる。
しかし、土木施工の代表的な材料が「土」であるから、受験のためだけでなく、現場における施工管理を十分に行うためには、その基本的な性質や管理の方法はよく理解しておかなければならない。



以下は、ごく初歩的な部分を述べるだけであるから、もっと詳しい事を知りたい方のために、末尾に参考書を挙げておく。しかし、一番の勉強は、日々の現場において土と慣れ親しむことである事を忘れてはいけない。土は、土木材料の中では、まだ我々の理解が進んでいないものなのである。

また、以下では、土質試験等に関する用語が多発する。主なものには簡単な説明を付すが、読者各位は、不明の用語があれば各自で調べるようにしていただきたい。それが勉強である。


(1) 盛土施工の手順

盛土工は、おおむね以下の手順で施工する。

  準備工 :工事の準備  
        
  伐開・除根 : 草木や異物を除去  
        
  表土処理 :地表面の腐植土や崩積土を除去。必要に応じて湧水対策、軟弱地盤対策、表面排水工  
        
  工事用道路造成 :盛土材料の試験施工、運搬機械の最終選定  
         
  盛土材料の運搬   
          
  盛土工  :敷均し(※1)、締固め  
         
  法面保護工 :切土・盛土の法面を保護する  
          
  完成  :必要に応じて地山変状観測  
     
   図1.3.2  盛土施工の手順    

(※1)「巻き出し」という場合もあるが、「敷き均し」はある程度均一な厚さを保つ作業であり、「巻き出し」はダンプトラックによるような粗な作業を意味する。


盛土施工に当たっての一般的な留意点を以下に挙げる。
  1. 規定された敷均し厚さを(通常は1層30p程度。構造物の種類(河川堤防や道路の路体・路床など)によって規定が異なるから注意)遵守して敷均す。
  2. 締固めは含水比調整を行いながら入念に行う。
  3. 締固め中に降雨があったときは、雨水が締固めている土に浸入しにくいように、表面を平滑に締固め、また、締固め面に勾配をつけて、表面に雨水がたまらないで排水できるような処置をする。
  4. 構造物のすぐ近くは大型の締固め機械による施工がしにくいので、締固め不足が生じないよう小型の突固め機などを使って入念に締め固める。
  5. 片切・片盛や切土と盛土の境界部分は、完成後に盛上部が沈下しないよう、特に入念に施工する。

(2) 盛土材料

盛土の材料は土であるから、一般に主として経済的理由から現場に近い土取場のものを利用することがよい。

しかし、材料の性質上、適当なものが得られることが、とくに近年では少なくなった。材料が適当でないと、直ちに施工性や出来上がり品質に影響するから、選定に当たってはよく検討することが必要となる。

一般的な盛土材料の要求品質は次の通りである。
  1. 施工機械のトラフィカビリティが確保できること。
  2. 所定の締固めが行いやすいこと。
  3. 締め固められた土のせん断強さが大きく、圧縮性が小さいこと。
上記に加えて、河川堤防などの場合は次の品質が要求される。
  1. 出来るだけ不透水性であること。
  2. 有害な有機物、とくに水に溶解する成分を含まないこと。
地盤が軟弱でトラフィカビリティを確保できないときは、次の処置をとる。(この項は別に軟弱地盤処理工法で説明する。)
  1. 建設機械:湿地ブルドーザによる締固め
  2. 排水:表層排水溝による地下水位の低下
  3. 安定処理:石灰、セメント等の混合安定処理
  4. 敷設工:鋼板やサンドマット等の敷設による建設機械の走行路確保

(3) 締固め

土は、先に示したこの図のように、土粒子と水と空気(気体)から構成されているので、ほぐした土を運搬してただ敷き均し、所要の形状に盛っただけでは、自然状態(地山)のとき以上に空気を含んでいる。
これでは重量物の乗る道路・空港の路床や路体の場合、沈下を起こすし、河川堤防などの場合は、間隙(空気のある部分)が多く存在するため水密性が保てないから、土構造物としての目的を達し得ない。

そこで、空気を追い出し、土を密実なものとし、密度を増加させ、均質性を増し、最も強度の得られる最適含水比に近づけて圧縮沈下量を極力小さくするために、締固めという作業を行う。
締固めとは外力(エネルギー)を土に与える事によって、土中の空気を抜き、密度を高めることを言う。こうして土の間隙が最小になったときの乾燥密度を最大乾燥密度といい、このときの含水比が、最適含水比である。

これらをまとめると、締固めの目的は次のようになる。
  1. 土の空気間隙を少なくし、透水性を低下させ、水の浸入による軟化・膨脹を小さくして土を最も安定した状態にする。
  2. 盛土の法面の安定、荷重に対する支持力など盛土として必要な強度特性を持たせる。
  3. 盛土完成後の圧縮沈下など変形を少なくする。
これらを実現するためには、盛土の設計・施工に当たって
  1. 締固めの程度
  2. 締固め時の含水比
  3. 施工層厚
などの締固めに関する基準を定めておくとともに、施工に当たってはその基準に沿った管理を行う必要がある。



(4) 締固めの管理

盛土を締固める際、どのぐらいのエネルギーを与えるのが適当かは、土の種類などによって異なるから、必ず目的の品質となっているかどうかを確認する必要がある。また、施工中も、目的の品質を得られるように適宜試験を行うなどして管理することが求められる。

管理方法には、品質規定方式工法規定方式があり、その特徴の理解が必要である。

品質規定方式とは、次のようなものがある。
  1. 基準試験の最大乾燥密度、最適含水比から規定する方法
    現場で締め固めた土の乾燥密度と、基準の締固め試験の最大乾燥密度との比である締固め度を規定する方法であり、最も一般的な方法である。
  2. 空気間隙率または飽和度を施工含水比で規定する方法
    締め固めた土が安定な状態である条件として、空気間隙率または飽和度を一定の範囲内にあるように規定する方法である。
  3. 締め固めた土の強度、変形特性を規定する方法
    締め固めた土の強度あるいは変形特性を、貫入抵抗、現場CBR値、支持力(地盤係数) 、プルーフローリング(※2)によるたわみ等の値によって規定する方法である。
また、エ法規定方式とは次のようなものである。
  1. 使用する締固め機械の種類、 締固め回数などを規定する方法
    盛土材料の土質、含水比がほとんど変化しない現場では、便利な方法でるあるが、事前に現場締固め試験を行って、盛土が所要の性質を確保できるか確認する必要がある 。
表1.3.1に両規定の試験方法との関係を示す。(後述する「土工の品質管理」も参照すること)

表1.3.1  土の締固め規定の概要
   規定方式  規定名 試験名 規定値   適用土質  
     品質規定方式   強度規定  平板載荷・CBR・コーン貫入試験   値、CBR値、q 礫・砂   
   変形量規定  プルーフローリング(※2)   沈下量  
   乾燥密度規定  土の締固め試験・単位体積質量試験  締固め度(※3)  一般土・砂質土・礫質土  
   飽和度規定  土粒子の密度試験  飽和度  高含水比粘性土   
   空気間隙率規定  土粒子の密度試験   空気間隙率  
   工法規定方式  工法規定  施工試験   重量と走行回数  岩塊・玉石  

(※2)盛土上などに一定荷重の車両やローラを走行させ、表面のたわみや沈下量を測定し、支持力などを調べる試験。
(※3)現場で締め固めた土の乾燥密度と基準の締固め試験の最大乾燥密度との比
    
    締固め度は、一般的に道路盛土で90%以上、河川堤防で85%以上である。
参考文献

地盤工学・実務シリーズ30 「土の締固め」 公益社団法人地盤工学会 平成24年4月
 

図表の出典 
 図1.3.1  筆者撮影
 図1.3.2  筆者作成 
 表1..3.1  筆者作成(各種参考文献より)

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