土木講座_2級土木合格を超えて 

 第1部 土木一般

第2章 コンクリート工 

第1節 コンクリートの材料

2級土木施工管理技術検定試験の出題範囲は、その名称のとおり「施工管理」であるから、コンクリートの材料や配合に関する出題は多くない。その理由としては、次のことが挙げられる。
近年、コンクリートは多くの場合、JISの規定によりコンクリート・プラントで製造され、土木や建築の現場技術者は、指定してそれを購入し使用するために、コンクリートとはすっかり縁遠くなったのである。

しかし、コンクリート材料の性質や配合の知識無くして施工管理は不可能であるから、ここではごく初歩の知識をまとめる。

コンクリートは、セメントと骨材と水を混合して製造する。骨材は、砂利と砂に分けられ、前者を粗骨材、後者を細骨材という。また、コンクリートの性質を利用目的にそって変化させるために、微量の混和材料を加える場合もある。混和材料は、配合の際の計量に加えるものを混和材、加えないものを混和剤と区別する。

なお、公益社団法人土木学会の「コンクリート標準示方書」が2013年3月に改訂された(リンク先はそのうちの「施工編」)。本講座の内容はほぼJISによっている(引用する場合、現在は2007年版を使用しているが順次変更の予定である)のでとくに断らないが、実務において「コンクリート標準示方書」を使用される方は注意が必要である。


(1) セメント

コンクリートは、セメントと水とが水和反応を起こして硬化するものであるから、材料のうち最も基本的なものである。セメントには多種多様な性質を発揮するものがあるが、大部分はJISによって規定されている。規定されていないセメントは、表2.1.2に示してある。
現場で使用する際、JISに規定されているセメントで、合格していないものは流通していないとみてよいが、貯蔵などの不備で風化が進んでいる場合があるから、注意する。

セメントの主な原料は石灰岩で、日本では豊富に見られる。リンク先のサイト(筆者作成)は、セメント原料の鉱山の一部である。

表2.1.1に、JISに規定されたセメントの種類と製造法・特徴・用途を示す。太字については別に説明をしている。


  表2.1.1 セメントの種類と製造法・特徴・用途 
 
  種            別 原料・製造法 特徴・用途   
  ポルトランドセメント系 ポルトランドセメント
(低アルカリ形セメント含)
(JIS R 5210)
普  通 石灰石と粘土に硅石・鉄滓を加えて混合、粉砕した原料を焼成し、クリンカーを作り、これに適量の石膏を加えて粉砕する。 一般のコンクリート工事に使用。  
  早  強 早期の強度が大(材齢1日で普通ポルトランドセメントの3日強度に匹敵)。工事を急ぐ場合や寒中、道路工事に使用。  
  超早強 急速施工用。  
  中庸熱 水和による発熱量が小さい。ダム工事等マスコンクリートに使用。  
  低  熱 初期圧縮強さは低いが長期において強さを発揮する。
高流動コンクリートに使用。
 
  耐硫酸塩 硫酸塩を含む土・地下水・下水・海水などに接触する場合に使用。  
  混合セメント系    高炉セメント
(JIS R 5211)
高炉スラグ含有%による種別  クリンカーと高炉スラグに適量の石膏を加え、混合・粉砕する。 早期強度はやや低いが、化学的抵抗が大きい。
海水・下水に接触する場合に使用。
 
  A種  5を超え30以下   
  B種 30を超え60以   
  C種  60を超え70以下  
                  シリカセメント
(JIS R 5212)
シリカ質混合材%による種別 クリンカーとシリカ質混合材に適量の石膏を加え、混合・粉砕する。 早期強度はやや低いが、化学的抵抗や水密性が大きい。
海水接触工事、工場や鉱山の廃水接触工事などに使用。
 
A種  5を超え10以下
B種  10を超え20以下
C種   20を超え30以下
フライアッシュセメント
(JIS R5213)
フライアッシュ%による種別 クリンカーとフライアッシュに適量の石膏を加え、混合・粉砕する。 早期強度は低いが、十分湿気を与えると長期強度は良好。
水理構造物などに使用。
 
A種   5を超え10以下
B種  10を超え20以下
C種   20を超え30以下
 その他 エコセメント
(JIS R5214)
都市ごみ焼却灰や下水汚泥を主原料とする。
 
原料廃棄物の影響により、ポルトランドセメントより少し多い塩素が含まれている。(最近では脱塩素技術の進歩により通常のセメントに近いものも開発されている。)
鉄筋を使わないコンクリート分野。
               

表2.1.1において、若干聞き慣れない用語があるが、その主な意味は次の通りである。

高炉
鉄鉱石から鉄を取り出すための、溶鉱炉のことである。取り出される鉄は1500℃前後の溶けた状態の銑鉄で、製鋼用銑の場合には溶けたままの状態で製鋼工場に送られて鋼に変わる。鋳物用銑の場合は冷却して5〜7kg程度の小塊にし、キュポラ炉で再び溶解して鋳鉄の原料とする。

高炉スラグ
高炉での銑鉄製錬のときに、鉄鉱石から分離される不純物のことである。鉱滓(こうさい)ともいう。

クリンカー
鉱物あるいは無機物質が半融状態で、定まった形状とはならずに焼き固まったもの。ポルトランドセメントはロータリーキルンから出たときこのクリンカー状になっている。セメントとして出荷するにはクリンカーを破砕、粉砕する必要がある。

シリカ
二酸化ケイ素のこと。シリカゲルなどとして使われるほか、工業での用途が広い。

フライアッシュ
火力発電所等で微粉炭を燃焼させた時の廃ガス中に含まれる球形微粒の石炭灰をいう。煙道から集塵(しゅうじん)装置で捕集する。ポゾランの一種で、粒子がなめらかでコンクリートの流動性を改善する。また、強度や耐久性、水密性を増大する。

ポゾラン
コンクリート用のシリカ質混合材。それ自体水硬性はなく、コンクリート中の成分と徐々に化合して不溶性の化合物をつくる。天然のものでは火山灰、凝石灰、ケイ藻土がある。人工のものではフライアッシュ、焼成した粘土等がある。


通常使用するセメントは表2.1.1における「ポルトランドセメント」であるが、それとの比較で覚えておく必要のある他のセメントの性質は次のようである。

早強セメント
@短期材齢において強度発現が大きい。 材齢1日で、普通ポルトランドセメントの 3日強度に匹敵する。
A早強性により、急速施工に適する。
B水和熱が大きいことにより、寒中施工に適する。
C水和熱が大きいことにより、暑中施工やマッシブ(大きくて重い。転じて構造物が比較的大きな断面で厚く、コンクリートを多量に打設する場合のことをいう 。マスコンクリート。)な構造物には適さない。
D一層の早強性を持った超早強ポルトランドセメ ントもある。

混合セメント
@混合セメントのA、B、C3種は、混合物の少ない順を表すので注意する。
A高炉セメントは、高炉スラグを混合物とする。水密性、耐熱性、耐食性に優れている。短期材齢強度は低いが長期材齢強度は普通ポルトランドセメントと同等かそれ以上である。
Bフライアッシュセメントはフライアッシュを混合物とする。 水密性、耐食性に優れている。強度発現特徴は高炉セメントに類似している。発熱量が少ないためマッシブな構造物に使用される。


JISに規定のある以外のセメントを、表2.1.2に示す。

   表2.1.2 特殊なセメント
 
   種         別  名          称  
   ポルトランドセメントをベースにしたもの 膨張性のセメント
2成分系の低発熱セメント
3成分系の低発熱セメント
 
   ポルトランドセメントの成分や粒度の構成を変えたもの 白色ポルトランドセメント
セメント系固化材
超微粒子セメント
高ビーライト系セメント
 
   ポルトランドセメントとは異なる成分のもの 超速硬セメント
アルミナセメント
歯科用セメント、りん酸セメントなど
気硬性セメント
 



(2) 細骨材・粗骨材

骨材は、それぞれ以下のような内容で細骨材と粗骨材に区分される。

@細骨材は10mmのふるいをすべて通過し、質量で85%以上が5mmのふるいを通過する砂をいう。
A粗骨材は質量で85%が5mmのふるいにとどまる砂利をいう。
B粗骨材の最大寸法は、ふるいわけ試験により質量で90%以上が通過する最小のふるい目で表す。

骨材の寸法は、コンクリートの性質に影響を与える重要な要素である。

@ 粗粒率(FM)
10種類のふるい(80、40、20、10、5、2.5、1.2、0.6、0.3、0.15o)の1組を用いてふるい分けを行ったとき、各ふるいを通らない全部の試料の百分率の和を100で除した値を粗粒率という。
この値は、骨材の大小の粒が混合している程度を表し、粒径が大きいほど大きくなる。
おおよそ細骨材では2.3〜3.1、粗骨材で6〜8程度である。

A 粗骨材の最大寸法
質量で少なくとも90%以上が通過するふるいのうち最小のふるい寸法で示す。
粗骨材の最大寸法が大きくなるほど経済的なコンクリートになるが、練混ぜや取り扱いが困難になり、材料分離も生じやすい。
コンクリート粗骨材の最大寸法は、鉄筋コンクリートでは50o以下で、部材の最小寸法の1/5又は鉄筋の水平あきの3/4以下である。

B骨材の含水状態
骨材の含水状態も、配合設計上重要である。図2.1.1に含水状態の模式図を示す。絶対乾燥状態は、骨材中に水を含まない状態、湿潤状態は骨材中及び表面に水を含む状態で、その間に空気中乾燥状態と表面乾燥飽水状態がある。

また、給水率等の計算式は、次の通りである。

吸水率=吸水量/絶乾質量×100%
含水率=含水量/絶乾質量×100%
有効吸水率=有効吸水量/絶乾質量×100%
表面水率=表面水量/表乾質量×100%

※絶乾質量:絶対乾燥状態の質量
※表乾質量:表面乾燥飽水状態の質量
     
   図2.1.1 骨材の含水状態  


骨材についてその他留意しなければならない点等を示す。

@ 骨材に砕石を用いる場合は、角ばりの程度の大きなものや、細長い粒、あるいは扁平な粒の多いものは避ける。
A 砕石を用いると、川砂利の場合に比べて角ばりや表面の粗さが大きいため、単位水量が増え、最適な細骨材率の値が増加する。
B 海砂利に付着している塩化物は、鉄筋コンクリートの場合鉄筋を錆させる原因となる。止むを得ず使用する場合は、水洗いをして塩化物含有量を許容限度以下にする。
C アルカリ骨材反応(下の囲み参照)を抑制するためには、反応性試験で無害と確認された骨材を使用する。

■アルカリ骨材反応

ある種の鉱物を含む骨材を使用すると、その鉱物がセメント、混和材料、練混ぜ水などに含まれるアルカリ金属(Na、K)と反応し、時間の経過とともに異常に膨張して、コンクリートにひび割れを発生させる。
この現象をアルカリ骨材反応という。
アルカリ骨材反応は、反応する鉱物の種類によって、アルカリシリカ反応、アルカリ炭酸塩反応、アルカリシリケート反応があるが、わが国ではアルカリシリカ反応がほとんどを占める。
骨材を、アルカリ反応性試験(化学法、モルタルバー法)によって以下のように区分する。
区分A:無害判定
区分B:無害でないと判定及び試験を行っていないもの
区分Bの骨材を使用する場合は、次のうちいずれかの対策を講じる。
@ 全アルカリ量が質量比0.6%以下の低アルカリ形セメントを使用する。
A 混合率の大きい(B種又はC種)フライアッシュセメント、高炉セメントを使用する。
B コンクリート中の総アルカリ量をNaO換算で3 Kg/m 以下とする。
C 単位セメント量を500 Kg/m 以下とする。

D 特殊な骨材としては次のものがある。

【高炉スラグ細骨材、同粗骨材】
コンクリートの強度、耐久性に影響を及ぼす塩化物、有機不純物、粘土、貝殻等を含まず、材齢を経るほど強度が増加し、材齢7日、及び28日では、天然の砂と同程度の圧縮強度が得られるほか、材齢を経るほど強度の増加がみられる。また、アルカリ骨材反応が生じない。

【軽量骨材(構造用及び非構造用)】
コンクリートの重量を軽減するための骨材である。構造用軽量骨材には人工軽量骨材、天然軽量骨材及び副産軽量骨材があるが、一般的には、膨張頁岩やフライアッシュなどを原料に高温焼成した人工軽量骨材が用いられる。

【重量骨材】
重量の大きいコンクリートを製造するために、赤鉄鉱、磁鉄鉱、重晶石など比重の大きい材料を骨材として使用する。通常の骨材ではコンクリートの単位容積重量は2.25〜2.30 t/m3であるが、重量骨材を使用すると同3.30〜3.80 t/m3が得られる。

E シルト、粘土、雲母などの微細物質、頁岩、石炭、亜炭などの脆弱な物質をある量以上含んでいる骨材は、コンクリートの耐久性や強度に悪影響を及ぼす。表2.1.3に細骨材の品質を示す。

    表2.1.3 細骨材の品質
 
   項     目 品質 試験方法  
   絶乾密度 g/p  2.5以上  JIS A 1109  
   吸水率 %  3.5以下  JIS A 1109  
   粘土塊 % 1.0以下(※1)  JIS A 1137  
   微粒分量 %  コンクリートの表面がするヘリ作用を受ける場合  3.0以下(※2)  JIS A 1103  
   その他の場合  5.0以下(※2)   
   有機不純物 標準色液又は色見本の色より淡い  JIS A 1105  
   塩化物 %  0.04以下(※3)  JSCE-C 502  
   安定性(耐凍害性) %  10以下  JIS A 1122  
 
  1. 試料は、JISA1103による骨材の微粒分量試験を行った後にふるいに残存したものを用いる。
  2. 砕石およびスラグ細骨材の場合で、微粒分量試験で失われるものが石粉であり、粘土、シルト等を含まないときは、最大値をおのおの5%および7%にしてよい。
  3. 細骨材の絶乾質量対する百分率であり、NaClに換算した値で示す。
 


(3) 混和材・混和剤

コンクリートにワーカビリティー(※1)改善や強度・耐久性の向上、凝結速度の調整など特別の性質を与える目的のために、打設前までに必要に応じて加えるものを、混和材料と言う。

JIS A 0203 コンクリート用語
(※1)ワーカビリティー:材料分離を生じることなく、運搬、打込み、締固め、仕上げなどの作業が容易にできる程度を表すフレッシュコンクリート(※2)の性質。
(※2)フレッシュコンクリート:まだ固まらない状態にあるコンクリート。


混和材料は主として添加量の多少によって混和剤と混和材に区分される。
区分には明確な境界がなく、JIS A 0203(コンクリート用語)では、「混和材料の中で、使用量が比較的多く、それ自体の容積がコンクリートなどの練上がり容積に算入されるもの」を混和材とし、「混和材料の中で、使用量が少なく、それ自体の容積がコンクリートなどの練上り容積に算入されないもの」を混和剤と定義している。
混和材料の一般的名称と使用の目的は、表2.1.4に示すとおりである。

  表2.1.4  混和材料の種類と使用目的
 
   混和材料  使用目的  
   混和剤 @ AE剤・減水剤

A 促進剤・遅延材・急結剤
B 防水剤
C 気泡剤・発泡剤
D 流動化剤
・ ワーカビリティーの改善
・ 凍結、融解作用に対する耐久性改善
・ 凝結、硬化時間の調節
・ 防水効果の向上
・ 充填性の改善、質量の調節
・ 流動性の増大
 
   混和材 @フライアッシュ、高炉スラグ、珪酸白土(ポゾラン)

A膨張混和剤
B硅砂質微粉末
C着色剤
・ ワーカビリティーを改善し、単位水量を
  減少させる
・ 硬化の際に膨張を起こさせる
・ オートクレープ養生により高強度を得る
・ 着色
 


(4) 水

コンクリートの練混ぜに用いる水は、上水道水であれば特に試験を行わなくてもよい。(JIS A 5308付属書C C.4)
上水道水以外の水は、試験を行い、JSCE-B 101(土木学会基準)またはJIS A 5308 付属書Cに適合したものを使用しなければならない。(同前 C.5)
地下水・河川水・湖沼水などの天然水であればおおむね適合するが、製造工場で発生する回収水は、JIS A 5308 付属書Cに適合したものでなければならない。

表2.1.5に練まぜ水が上水道水以外の水の場合の品質規定を示す。

 表2.1.5 練まぜ水の品質規定(回収水の場合は下段3行)
 項  目 品  質 
  懸濁物質の量    2g/L以下  
   溶解性蒸発残留物の量   1g/L以下  
   塩化物イオン(Cl)量   200ppm以下   
   セメントの凝結時間の差   始発は30分以内、終結は60分以内  
   モルタルの圧縮強さの比   材齢7日及び材齢28日で90%以上   

 
※本節は2013年3月31日に、「2012年版コンクリート標準示方書」に関する事項を追加した。
図表の出典 
表2.1.1  各種資料より筆者作成。
表2.1.2  筆者作成 
表2.1.3  2007年制定「コンクリート標準示方書施工編」45ページ表3.4.1 公益社団法人土木学会
表2.1.4   各種資料より筆者作成
表2.1.5   JIS A 5308 付属書C 表C.1及び表C.2より作成
図2.1.1  各種資料より筆者作成
※参考にさせていただいたサイト。社団法人セメント協会 

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