土木講座_2級土木合格を超えて 

 第1部 土木一般

第2章 コンクリート工 

第2節 コンクリートの配合

配合とは、コンクリートの持つべき強度、耐久性などを確保するために、コンクリート1.0 m3 を製造するための各種材料の質量を定めることである。

「配合」という用語は、主として土木(又はJIS)関係の用語であり、建築関係では「調合」という。本講座は土木の講座なので「配合」と称しておく。

(これ以外にも、土木と建築では呼び名などの違う事項が多く存在する。本講座でも気がつく限り注釈として述べるが、筆者が土木分野なので見落としがあるかもしれない。同じ「建設」という工学分野なのであるから、統一するのが望ましいと思うのだが、そのような動きは寡聞にして知らない。)

コンクリートの品質に最も大きな影響を与えるのは、水セメント比と単位水量である。水セメント比とは、コンクリート配合中の水とセメントとの割合で、水量をW、セメント量をCとすると「W/C」の百分率で示される。単位水量とはコンクリート1.0 m3 を製造するための水量のことである。

必要以上に単位水量の多いコンクリートは、単位セメント量も多くなり、不経済であるばかりか、材料分離も起こりやすく、収縮が大きくもなる。
以上のことから、コンクリートの配合は、要求品質と作業に適するワーカビリティー(※1)が得られる範囲内で、単位水量を出来るだけ少なくするように定める必要がある。

(※1)ワーカビリティー
材料分離を生じることなく、運搬、打込み、締固め、仕上げなどの作業が容易にできる程度を表すフレッシュコンクリート(まだ固まらない状態にあるコンクリート)の性質。(JIS A 0203 「コンクリート用語」による)


(1) 配合の表し方

配合は、示方配合と現場配合で示される。

@ 示方配合
設計図書の仕様書に示す品質となるよう、示方書によって示される配合のことをいう。(簡単に言えば理想的な状態での配合である。)
骨材は表面乾燥飽水状態とし、細骨材は5o ふるいを全て通過し、粗骨材は5o ふるいに全て留まるものとして示される。また、混和剤は、水で薄める前の状態で示される。

A 現場配合
示方配合のコンクリートとなるよう、現場における材料の状態(骨材の含水状態、5o ふるい通過または留まる量など)によって補正したり、計量方法に応じたりして定める配合である。

B 配合の表し方
配合は表2.2.1のように表すことになっている。(本表については出典からそのまま引用してある。従って注釈は多少高度な内容となっているから、勉強するには本講座では不足する。読者の自習に期待する。)

表2.2.1 配合の表し方
           
粗骨材の
最大寸法
(mm)
 スランプ 1)

(p)
空気量

(%)
水セメント比 2)
W/C
(%)
 細骨材率
s/a
(%)
単位量(kg/m3
 
W
 セメント 3)
C
混和材 3)4)
F
細骨材
S
粗骨材 G  混和剤 5)
A
o〜o o〜o


11
                     
          注)
           1) 標準として荷卸しの目標スランプを表示する。必要に応じて、打ち込みの最少スランプや練上がりの目標スランプを併記する。
           2) ポゾラン反応性や潜在水硬性を有する混和材を使用する場合は、水セメント比は水結合材比となる。
           3) 材料分離抵抗性の目安として、セメントおよび混和材の総量として単位粉体量を併記するのがよい。
           4) 複数の混和材を用いる場合は、必要に応じて、それぞれの種類ごとに分けて別欄に記述する。
           5) 混和剤の単位量は、ml/m3またはg/m3で表し、薄めたり溶かしたりしない原液の量を記述する。         


(2) 配合設計

最近の現場業務では、かなり大きな現場や、ダムなどの特殊な現場でない限り、コンクリートを製造することはほとんど無く、レディーミクストコンクリートを工場から購入することが一般的である。従って、現場の土木技術者が配合設計を行う事はほとんど無い。

しかし、レディーミクストコンクリート工場から購入する際に、配合設計に関する知識がないと、協議して指定(この点は後述)することができなくなる。以上のことから、必要最小限の知識はやはり必要となる。

配合設計上の留意点を次に示す。
  1. 配合設計では、単に設計基準強度(※2)を得るためにだけ材料の割合を求めるのではなく、具体的な使用対象に合わせた施工性も考慮する。
  2. 粗骨材の最大寸法は、大きいほど経済的であるが、鉄筋コンクリート部材においては、鉄筋間隔との関係からコンクリート充填が困難となる場合がある。
  3. 土木学会では、粗骨材の最大寸法を、構造物が一般の場合は20oまたは25o、断面の大きい場合あるいは無筋コンクリートの場合40oを標準値としている。
  4. 圧縮強度のバラツキが大きいほど、割増係数(コンクリートの品質が変動した場合、その最小強度が設計基準強度を大きく下回らないように、配合強度を割り増しする度合い)を大きくしなければならない。
  5. 要求品質と作業に適するワーカビリティーが得られる範囲内で、単位水量を出来るだけ少なくするように定める。
  6. 細骨材率(s/a:細骨材容積を骨材全体容積で除した値×100)が大きいと、施工中材料分離が生じにくいが、強度は低下するため、材料分離が生じない範囲で細骨材率を最小とする。
  7. 打設する部材の最小寸法が小さいほど、鉄筋の配置が密なほど、ワーカビリティーをよくする必要があり、スランプを大きくする。
  8. AE剤を用い空気量を増すとワーカビリティーを増加させ、耐凍害性を向上させるが、強度は低下する。従って、所要のワーカビリティーの得られる範囲で、AE剤の使用料は必要最小限度とし空気量を出来るだけ小さくする。また、減水剤を併用して強度を確保する。
(※2)設計基準強度
構造計算において基準とするコンクリートの強度。(JIS A 0203 「コンクリート用語」による。)他に、コンクリートの強度を表す用語は次の通り(出典は同じ)。

配合強度(調合強度):コンクリートの配合(調合)を決める場合に目標とする強度。
呼び強度:JIS A 5308 に規定するコンクリートの強度の区分。
(実際の強度は試験をしなければ配合設計通りになっているかどうかわからないから、現場で試験前に(施工計画などで)使用される強度は、特に断らない限りこの強度を意味する。)



(3) レディーミクストコンクリート

 写真2.2.1 レディーミクストコンクリート工場の様子
レディーミクストコンクリートについては、JIS A 5308 によって、その適用範囲を「荷卸し地点まで配達されるレディーミクストコンクリート」について規定されている。

従って、「この規格は,配達されてから後の運搬、打込み及び養生については適用しない。」と規定されている。

レディーミクストコンクリートの種類は、普通コンクリート、軽量コンクリート、舗装コンクリート、高強度コンクリートに区分し、粗骨材の最大寸法、スランプ又はスランプフロー及び呼び強度を組み合わせた、表2.2.2に示す◯印の種類がある。

レディーミクストコンクリートを購入者が注文する際には、表2.2.2 の中に記載のある種類を指定して行うが、以下の事項については注文者と生産者が協議のうえ指定できる。

なお、a)〜d)は指定、e)〜q)は、必要に応じて協議の上指定する事ができる。
ただし、a)〜h)までの事項は、JIS A 5308 で規定している範囲とする。

a) セメントの種類
b) 骨材の種類
c) 粗骨材の最大寸法
d) アルカリシリカ反応抑制対策の方法

e)骨材のアルカリシリカ反応性による区分
 f) 呼び強度が36を超える場合は、水の区分
 g) 混和材料の種類及び使用量
 h) 塩化物含有量の上限値が規定4.2(※3)に定める上限値と異なる場合は、その上限値
 i)  呼び強度を保証する材齢
 j) 規定に定める空気量と異なる場合は、その値
 k) 軽量コンクリートの場合は、軽量コンクリートの単位容積質量
 l) コンクリートの最高温度又は最低温度
 m) 水セメント比の目標値(配合設計で計画した水セメント比の目標値)の上限
 n) 単位水量の目標値(配合設計で計画した単位水量の目標値)の上限
 o) 単位セメント量の目標値(配合設計で計画した単位セメント量の目標値)の下限又は目標値の上限
 p) 流動化コンクリートの場合は、流動化する前のレディーミクストコンクリートからのスランプの増大量(以下省略)
 q) その他必要な事項


表2.2.2 レディーミクストコンクリートの種類
コンクリートの種類 粗骨材の最大寸法
mm
スランプ又はスランプフロー(a)p 呼び強度
18 21 24 27 30 33 36 40 42 45 50 55 60 曲げ
4.5
普通
コンクリート
20、25  8、10、12、15、18
21
 40 5、8、10、12、15
軽量
コンクリート
 15  8、10、12、15、18、21            
舗装
コンクリート
20、25、40  2.5、6.5                                   
高強度
コンクリート
20、25  10、15、18  −         
50、60
                        (a)  荷卸し地点での値であり、50p及び60pはスランプフローの値である。 


(※3)規定4.2
JIS A 5308 「4.2 塩化物含有量」
 レディーミクストコンクリートの塩化物含有量は、荷卸し地点で、塩化物イオン(Cl)量として 0.30 kg/m3以下とする。ただし、箇条3 h)(注:上記のh)のこと)で塩化物含有量の上限値の指定があった場合は、その値とする。また、購入者の承認を受けた場合には、0.60 kg/m3以下とすることができる。


配合計画書
上記の協議を行って配合を決定する際に、工場は「配合計画書」を作成する。JIS A 5308 より、「配合計画書」のサンプルを引用して掲載する。これらの詳細な見方は本講座のレベルを超えるので、説明は行わない。各自の独習に期待する。

   
  図2.2.1 配合計画書の例  


製品の呼び方
レディーミクストコンクリートは工場製品として現場に搬入される。その際、搬入された製品には、その品質を示す帳票が添付されているので、読み方を理解している必要がある。これもJIS A 5308 からその例を引用しておく。

    表2.2.3 コンクリート及びセメントの種類による記号  
   
図2.2.2 製品の呼び方

なお、納入書(所謂納入伝票)については、次節(コンクリートの施工)において説明する。



 
図表の出典 
表2.2.1  「2007年制定コンクリート標準示方書 施工編」91ページ表4.7.1 公益社団法人土木学会
表2.1.2  JIS A 5308:2009より引用
表2.2.3  JIS A 5308:2009より引用
図2.2.1   JIS A 5308:2009より引用
図2.2.2   JIS A 5308:2009より引用
写真2.2.1  筆者撮影

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