土木講座_2級土木合格を超えて 

第1部 土木一般

第2章 コンクリート工 

第4節 鉄筋工

コンクリート構造物は多くの場合鉄筋コンクリートとして構築される。それは、前回((2) 硬化したコンクリートの性質)述べたように、コンクリートの強度のうち、引張り強度や曲げ強度が、圧縮強度に比較してかなり小さな値をもち、梁などの引っ張り側では応力上耐えきれない場合があるために、鉄筋により抵抗させるためである。また、コンクリートと鉄筋の熱膨張係数はほぼ等しいことにより、温度の変化する環境でも一体を保つ事が出来る性質を持っている。これらのことが、鉄筋コンクリートを、建設分野の主要資材としている理由である。

本節では、鉄筋の種類と加工、組立を学ぶ。鋼の性質は、鋼構造物の章で学ぶこととする。

(1) 鉄筋の種類

鉄筋コンクリートに使用する鉄筋については、「コンクリート標準示方書」(土木学会)に、次のような規定がある。

3.6.1 鉄筋
(1) 鉄筋は、JIS G 3112、JIS G 3117およびJSCE-E 121に適合することを標準とする。
(2) JIS G 3112およびJIS G 3117に適合しない鉄筋を用いる場合には、試験を行い、設計用値を満足する事を確認するとともに、その使用方法を定めなければならない。
(3) エポキシ樹脂塗装鉄筋は、JSCE-E 102に適合することを標準とする。

ここで、JIS G 3112は「鉄筋コンクリート用棒鋼」、JIS G 3117は「鉄筋コンクリート用再生棒鋼」である。これにはD51までの規定しかないが、最近ではそれを超える太径を使用する事も多くなっているため、規定されている土木学会基準JSCE-E 121「鉄筋コンクリート用太径ねじ節鉄筋D57およびD64品質規格(案)(JSCE-E 121-2010)(CL71 太径ねじ節鉄筋指針) 」も加えられている。

JISに規定されている鉄筋には、丸鋼と異形鋼棒があり、次のような種類がある。丸鋼とは文字通り断面形状が丸いものであり、異形鋼棒とは、コンクリートとの付着応力度を増加させるために、表面に節を付けたものである。

写真2.4.1 異形棒鋼

節の形状はメーカーによって異なるが、一例として新日鉄住金株式会社のカタログページへのリンクを張っておくので参考にされたい。異形棒鋼丸鋼

※リンク先は本サイトの管理外であるので変更や削除に対応しきれない場合もある。

 表2.4.1 丸鋼と異形棒鋼の種類の記号

区分  種類の記号 
丸鋼 SR235
SR295 
異形棒鋼 SD295A
SD295B
SD345
SD390
SD490

ここで、SRやSDの後の235などの数値は「降伏点」の強さを表す。(詳しくは「鋼構造物」の章で学ぶ。)

鉄筋には上記のように丸鋼と異形棒鋼があるが、一般に土木構造物には丸鋼が使われることはなく、異形棒鋼が使用されている。以下本講座では異形棒鋼についてのみ述べる。

              表2.4.2 異形棒鋼の呼び名と公称直径
  
呼び名 D4 D5 D6 D8 D10 D13 D16 D19 D22 D25 D29 D32 D35 D38 D41 D51
公称直径
(mm)
4.23 5.29 6.35 7.9 9.53 12.7 15.9 19.1 22.2 25.4 28.6 31.8 34.9 38.1 41.3 50.8


(2) 鉄筋の役割

先に述べたように、鉄筋はコンクリートの弱点を補うために配置するのであるが、加工後の形状、配置場所、力学的役割などによりいろいろな名称で呼ばれている。表2.4.3に、主な名称と定義を示す。

表2.4.3 配置された鉄筋名称とその定義
名称 定義
 主鉄筋  設計荷重によって応力が算定されて、それにより所要の鉄筋量が算定された鉄筋で、引張主鉄筋と圧縮主鉄筋がある。
 引張主鉄筋  曲げモーメントあるいは引張力により生じる引張応力に抵抗するために配置される主鉄筋。
 圧縮主鉄筋  曲げモーメントあるいは圧縮力により生じる圧縮応力に抵抗するために配置される主鉄筋。
 正鉄筋、負鉄筋  正の曲げモーメント(下面が引っ張りになる曲げモーメント)によって生じる引張応力に対して配置される主鉄筋が、正鉄筋、負の曲げモーメント(上面が引っ張りになる曲げモーメント)によって生じる引張応力に対して配置される主鉄筋が、負鉄筋。
 配力鉄筋  主鉄筋と直角に配置される、応力を分散させることを目的とする鉄筋。
 腹鉄筋  はり等に配置される斜め引張鉄筋。スターラップと折曲鉄筋を総称した名称。
 スターラップ  軸方向鉄筋を取り囲み、軸方向鉄筋に直角あるいは直角に近い角度で配置される横方向鉄筋。
 折曲鉄筋  軸方向鉄筋を曲げ上げ、あるいは曲げ下げた主鉄筋。一般には45°で折り曲げる。
 帯鉄筋、フープ筋  柱の軸方向鉄筋の座屈防止とせん断補強のために、軸方向鉄筋を取り囲んで直角に配置される横方向鉄筋。
 用心鉄筋、補強鉄筋  応力度を計算で求めることはできない個所に、用心のため配置される鉄筋。そのうち、埋設管、配管などによりやむを得ず鉄筋を切断する場合など構造物の安全性が損なわれると想定される場合に、それを補うように配置される鉄筋を、補強鉄筋という。
 組立鉄筋  配筋作業を行う際、鉄筋の位置を確保する目的で用いられる鉄筋。
 ハンチ筋  ハンチ部に配置される鉄筋で、組み立て筋の一種であるが、圧縮鉄筋として配置されたりする。用心鉄筋でもある。

鉄筋の配置を知るのは、鉄筋組み立て図を読む上で大切なことである。出来るだけ多くの鉄筋組み立て図(配筋図)を見て、慣れることが近道である。主な名称の説明図を、図2.4.1に示す(表2.4.3とは一致していない部分がある)。

図2.4.1 鉄筋の名称


(3) 鉄筋の加工

鉄筋を加工するとは、所定の長さに切断することと曲げることをいう。(特別な場合は長さ方向に接合することもある。)

鉄筋の曲げ加工は、原則として常温で行う。
溶接した鉄筋を曲げ加工する場合は、溶接継手部分で行うと、強度を著しく低下させることがあるので、鉄筋直径の10倍以上離れた箇所で行う。
一時的に鉄筋を曲げておく場合は。出来るだけ大きい半径で曲げる。

曲げ形状が設計図に示されていない場合は、図2.4.1ないし図2.4.2を参考にする。

 
図2.4.2 鉄筋端部のフックの形状 図2.4.3 折り曲げ鉄筋の曲げ内半径(左)および
ラーメン隅角部外側鉄筋の曲げ内半径 

(4) 鉄筋の組立

鉄筋は、配筋図の通りの位置に正しく組み立てる。僅かな位置の狂いでも、部材の強度に影響したり、耐久性を損なうので注意する。以下、一般的な留意事項を列記する。
  1. 鉄筋は、組み立てる前に、浮きさび・泥・油などを取り除く。
  2. コンクリート打設の衝撃により移動しないように、また組立を容易にするために、必要に応じて組立鉄筋(組立て用鋼材)を配置する。
  3. 鉄筋の継ぎ手は弱点になりやすいので、引張り応力の大きい部分はさける。また同一断面に集中しないよう相互にずらす。ずらす距離は継ぎ手の長さに鉄筋直径の25倍を加えた長さ以上を標準とする。
  4. 鉄筋の継ぎ手には、重ね継手・溶接継手・機械的継手・スリーブ継手・などがある。一般的なのは重ね継手である。
    (※参考サイト:「『鉄筋の継手』- 鉄筋をつなげる継手」(一般社団法人 日本建築構造技術者協会))
  5. 重ね継手の緊結は、直径0.8㎜以上の焼きなまし鉄線(結束線※写真2.4.2参照)を使用し、その重ね合わせ長さは、鉄筋直径の20倍以上とする。
  6. 鉄筋の端部はコンクリート中に埋込み定着させる。定着には、鉄筋とコンクリートの付着力を利用する方法、機械的な方法 、フック(※図2.4.2参照)による方法がある。引っ張り鉄筋に普通丸鋼を用いる場合は、端部を必ず半円形フックとする。
  7. 鉄筋とせき板との間には、正しくかぶり(※図2.4.4参照)を保つためスペーサーを使用する。
  8. スペーサーの配置数は、原則として1.0㎡あたり4個を基準とし、床版等で1.0㎡あたり4個、壁および柱では1.0㎡あたり2個~4個程度とする。
  9. スペーサーの材質は原則としてコンクリート製またはモルタル製を用いる。(※写真2.4.3参照)
    (※参考サイト:「鉄筋工事用スペ-サ設計施工ガイドライン」(日本土木工業協会)
  10. 将来の打継ぎのために構造物から露出させておく鉄筋は、損傷や腐食をしないように保護しておく。
  11. (先に溶接継ぎについて述べたが)原則として鉄筋の溶接は行ってはならない。
以下は設計の原則であるが、この配筋原則を知っておくと組立の間違いを防ぐことが出来る。
 ①主鉄筋はコンクリートの引張縁に配置する。表現を変えると、主鉄筋は曲げモーメント図が描かれている側に配置する。
  (曲げモーメントは部材の引張側に描くことになっている。)
 ②主鉄筋、斜め引張鉄筋、補強鉄筋に関わらず、鉄筋は想定されるクラックに直角に配置する。
 ④鉄筋は圧縮側に定着する。地震荷重のような交番荷重(向きと大きさが時間によって変化する荷重。)が作用する柱では,柱内側に定着する。

図2.4.4 鉄筋のかぶりとあき

参考のため、写真2.4.2に鉄筋結束の状況を、写真2.4.3に床版にスペーサーブロックを使用している状況を示す。

   
  写真2.4.2 鉄筋結束状況 写真2.4.3 スペーサーブロック使用状況  


 
図・表・写真の出典
写真2.4.1    ウィキペディア「異形鉄筋」より
表2.4.1    JIS G 3122:2010 表-1 
表2.4.2   JIS G 3122:2010 表-4 より筆者作成
表2.4.3   各種参考文献より筆者作成
図2.4.1   「土木施工管理技術テキスト:改訂第10版」(財団法人地域開発研究所)図2.45
図2.4.2   「土木施工管理技術者指定技術講習用テキスト CPDSⅢ 一般土木工学編改訂第1版」(一般社団法人全国土木施工管理技士会連合会) 図2.8.1
図2.4.3   「土木施工管理技術者指定技術講習用テキスト CPDSⅢ 一般土木工学編改訂第1版」(一般社団法人全国土木施工管理技士会連合会) 図2.8.2、2.8.3
図2.4.4   「土木施工管理技術者指定技術講習用テキスト CPDSⅢ 一般土木工学編改訂第1版」(一般社団法人全国土木施工管理技士会連合会) 図2.8.4
写真2.4.2   筆者撮影
写真2.4.3   筆者撮影

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