土木講座_2級土木合格を超えて 

第1部 土木一般

第2章 コンクリート工 

第5節 型枠工・型枠支保工

型枠および型枠支保工は、コンクリート構造物が設計図書に示されている形状・寸法となるようにするためのものである。型枠は一般に、コンクリートが硬化するまでの短期間だけの使用であるから、強度等の検討において安全率が低くなる場合がある。

しかし、この事故例①事故例②でもわかるように、十分な強度を持たないで施工すれば、重大事故を招くから、鉛直方向や水平方向の荷重およびフレッシュコンクリートの側圧を十分に考慮して設計、施工する必要がある。


(1) 型枠・型枠支保工の材料

型枠の材料としては、木板、合板、鋼材、プラスチックなどがあるが、それぞれJAS(日本農林規格(参考サイト:一般社団法人日本農林規格協会))、JISなどに定める材料を用いる必要がある。
合板はラワン材等の南洋材が使われているが、地球環境問題への対応策の一環として、針葉樹の使用も行われている。しかし、その性質上の欠点を補わねばならず、余り普及していない。
土木ではもっぱら鋼製型枠が使用され、これは 「JIS A 8652 金属製型枠パネル」 に規定がある。

型枠支保工の材料は、以前は木材が使われたが、現在ではほぼ100%鋼製であり、そのうちの鋼管支柱は 「JIS A 8651 パイプサポート」に規定がある。

型枠の材料にはその材質の性状で適不適があり、どの材質がよいとは一概に言えない。構造物の目的及び形状に合致(大平面と小さな局面などの差違を考慮)した、加工手間の少ない(既製品で間に合うか、工場加工か)、強固で変形の少ない材料を適宜選択することが求められる。

写真2.5.1および2.5.2は、一般財団法人茨城県建設技術管理センター(茨城県水戸市)にある、教育用モデルである。ボックスカルバートの鉄筋組立、型枠支保工組立、コンクリー躯体という工程の進捗状況を表した実物大模型である。

写真2.5.1中央に、内部の金属製型枠と支保工が見える。写真2.5.2は型枠支保工を外した躯体の様子である。

 
写真2.5.1 鉄筋と型枠工の例(1) 写真2.5.2 鉄筋と型枠工の例(2) 


(2) 型枠・支保工の組立

型枠及び支保工の各部の一般的な名称は図2.5.1に示す。このように、型枠は鋼製が主体であっても、複雑な形状の部分には加工の容易な合板(木製)型枠が使われているのが一般的である。

写真2.5.3 型枠と締付金具
図2.5.1 型枠・支保工各部の名称 図2.5.2 型枠と締付金具断面

型枠を組立てる場合、コンクリートを打設しても寸法が変化しないように所定の形状を保っておかなければならない。その役目を果たすものが締付金具である。

写真2.5.3及び図2.5.2に示すように、型枠内部にコンクリートが打設されたとき、フレッシュコンクリートが型枠を膨らませるのを防ぐため、木コンとセパレータと呼ばれる金物と横バタとして使われる丸パイプや角パイプを一体として締め付ける構造にする。これら「締付金具」が正しい寸法を保ちコンクリート打設中の側圧やバイブレータの振動によっても動かず、コンクリート硬化後まで維持するから、所定の寸法のコンクリート構造物が完成するのである。

型枠組立ての留意点は以下の通りである。
  1. 型枠・支保工は必ず組立て図を作成し、それによって組立なければならない。
  2. 型枠の締付けはボルト又は棒鋼を使用する。重要な箇所に鉄線を用いない。
  3. とくに指定が無くとも面取りを行う。
  4. 型枠は正確な寸法と十分な強度を有するように組み立てるのはもちろんであるが、コンクリート重量によって生じる型枠の沈下量を推定し、その分の上げ越を行うとよい。
  5. 型枠内面には剥離剤を塗布する。これによってコンクリートの付着防止及び取り外しの容易さを確保する。
  6. コンクリートの打設前には検査・清掃を行い、打設中は監視をする。


(3) 型枠・支保工の取りはずし

型枠・支保工の取りはずしについては、「コンクリート標準示方書」に次のような規定がある。
  1. 型枠および支保工は、コンクリートがその自重および施工期間中に加わる荷重を受けるのに必要な強度に達するまで取りはずしてはならない。
  2. 型枠および支保工の取りはずしの時期および順序は、コンクリートの強度、構造物の種類とその重要度、部材の種類および大きさ、部材の受ける荷重、気温、天候、風通し等を考慮して、適切に定めなければならない。
  3. 型枠および支保工を取りはずした直後に構造物へ載荷する場合は、コンクリートの強度、構造物の種類、作用荷重の種類と大きさ等を考慮して、構造物が有害なひび割れその他の損傷を受けないようにしなければならない。
また、その他の留意点としては、以下のことが挙げられる。
  1. 締付け材は、型枠を取りはずした後、コンクリートの表面から25㎜以内に残してはならない。木コン(プラスチックコン)などを取り去った穴は、高品質のモルタルで埋める。
  2. 型枠を取りはずす順序は、鉛直部材の型枠を水平部材の型枠より先に、梁においては両側面の型枠を底面の型枠より先に取りはずす。
  3. 柱と壁、柱とスラブなど厚さの異なる部材の型枠は、柱などの厚い部材の型枠から取りはずす。
  4. 取りはずしてよい時期は表2.5.1を参考にして決定する。

表2.5.1 型枠を取りはずしてよい時期のコンクリート圧縮強度の参考値
1
 
  部材面の種類 例  コンクリートの圧縮強度(N/㎜  
  厚い部材の鉛直又は鉛直に近い面、傾いた上面、小さいアーチの外面 フーチングの側面 3.5  
薄い部材の鉛直または鉛直に近い面、45°より急な傾きの下面、ちいさいアーチの内面 柱、壁、はりの側面 5.0
橋、建物等のスラブおよびはり、45°より緩い傾きの下面 スラブ、はりの底面、アーチの内面 14.0


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図・表・写真の出典 
写真2.5.1    筆者撮影
写真2.5.2    筆者撮影 
写真2.5.3   筆者撮影
図2.5.1   「土木施工管理技術テキスト:改訂第10版」(財団法人地域開発研究所)図2.46
図2.5.2   「土木施工管理技術テキスト:改訂第10版」(財団法人地域開発研究所)図2.48
表2.5.1   「2007年制定コンクリート標準示方書 施工編」155ページ解説表11.8.1 公益社団法人土木学会

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