土木講座_2級土木合格を超えて 

第1部 土木一般

第2章 コンクリート工 

第6節 コンクリートの施工

コンクリートの製造は、ダムや山岳トンネルなどの場合の他は、所謂コンクリート工場で行われる。JIS表示認定工場の場合、レディーミクストコンクリートの種類が決められており、その中から選択して購入できる。その際、一定程度の範囲で、購入者が配合について指定する事も出来る。これらについてはすでに本講座の第6回で学んである。

工場で製造したレディーミクストコンクリートをコンクリートミキサー車に積み込み、運搬して現場に卸し、コンクリートポンプ車などで打設するのであるが、本節では、その運搬から養生までを学ぶ。

(1) コンクリートの運搬

 
写真2.6.1 レディーミクストコンクリート運搬車
フレッシュコンクリートの運搬には、写真2.6.1のような運搬車(トラック)が使用されることが一般的である。

このトラックは、荷台部分にミキシング・ドラムを備え、生コンクリートを収めて、走行中も撹拌しながら輸送することができる。
これは「トラックミキサ」や「ミキサー車」、「生コン車」、「アジテータ・トラック」、「トラック・アジテータ」「移動式ミキサ」などと呼ばれる。

このほかの運搬手段としては、近距離の際用いられるベルトコンベアやバケット、またシュートによる場合などがある。

高い場所や車両が直接入れない場所には、コンクリートポンプが使われる。

そのほか、トンネル工事の覆工に使用される空気圧による圧送や、ダム、舗装工事(スランプ2.5㎝の舗装コンクリート運搬する場合)などではダンプトラックによる運搬も行われる。

これらは、撹拌する装置がないので、材料分離に十分な配慮が必要な運搬手段であり、通常現場内のみで使用される。

なお、レディーミクストコンクリートの規定(JIS A 5308)では、「荷卸し地点まで配達されるレディーミクストコンクリートについて規定する。」とされているから、運搬中の品質については、製造者にその責任があることとなる。

コンクリートの運搬には、以下の様な点に留意が必要である。
  1. 材料分離に注意する。
  2. 運搬中に材料分離した場合は、十分な練直しによって均質なコンクリートにする。 (練直しとは、固まりはじめない段階で再び練り混ぜることをいう。)
  3. 練り混ぜてから打ち込みの終了するまでの時間は、原則として外気温が25℃を超えるときは1.5時間、25℃以下の時で2時間を超えてはならない(「コンクリート標準示方書)。
    従ってこの時間を目安に、コンクリート工場を選定する必要がある。この時間は、製造者と購入者との協議によって変更することが出来る。
  4. 荷卸し時には、購入者は受け入れ検査をおこなって、品質が規定を満足しているかどうかを確認する。(受け入れ検査については別項「品質管理」で学ぶ。)

(2) 打ち込み(コンクリート打設)

コンクリートの打ち込みについての留意事項は次の通りである。

 
写真2.6.2 コンクリート打ち込みの様子
  1. コンクリートの打ち込みに先だって、鉄筋・型枠の寸法・配置等の検査を済ませておく。また、型枠内は清掃し、吸水の恐れのある箇所は、あらかじめしめらせておく。直接地面に打ち込む場合は、あらかじめ均しコンクリートを敷いておく。
  2. 打ち込み箇所が平面的な広がりのある場合は、コンクリートの供給源から遠い方から開始し、近い方で終わるようにする。
  3. 材料分離を出来るだけ避けるため、高所からの打ち込みでは縦シュートを用いる。シュート下端とコンクリート面の距離は1.5m以内になるよう保持する。
  4. やむをえず斜めシュートを用いる場合は、傾きを水平2鉛直1以下を標準とする。
  5. コンクリートの表面は出来るだけ水平を保ち、一層の厚さは40~50㎝以下とする。二層以上に分けて打ち込む際は、原則として上層のコンクリートを下層のコンクリートが固まりはじめる前に打ち込む。
  6. コンクリートは型枠内で移動させない。一区画内のコンクリートは連続打設する。
  7. コンクリートは練り返し(固まりはじめた段階で練り混ぜること)をしてはならない。
  8. 打設中表面に出たブリーディング(フレッシュコンクリートにおいて水が上昇する現象)水やレイタンス(ブリーディングに伴って表面に浮かんで沈殿した微細な物質)は取り除く。取り除く場合は、ひしゃくやスポンジを用い、コンクリートの表面を流してはならない。
  9. 高さ方向への打ち込み早さは、過大な側圧が型枠に働かないよう、30分につき1~1.5m程度とする。
  10. スラブや梁と壁や柱との接合部分は、コンクリートの沈下速度が違うので弱点になりやすい。壁や柱のコンクリート沈下がほぼ終了してから、スラブや梁のコンクリートを打ち込む。

コンクリートポンプ車を使用して打ち込む際の留意事項は次の通りである。

   
  写真2.6.3 ポンプ車へのコンクリート受け入れ 写真2.6.4 ポンプ車によるコンクリート打ち込み  
  1. ポンプの圧送効率を上げるために、コンクリートに水を加えて柔らかくする(これを「加水」という)ことは絶対にしてはならない。
  2. コンクリートポンプの機種は、圧送能力がポンプにかかる最大圧送負荷よりも大きくなるように選定する。
  3. 輸送管の径及び配管経路は、コンクリートの種類、品質、粗骨材の最大寸法、ポンプの機種、圧送条件、圧送作業性、安全性等を考慮して決定する。
  4. ポンプの台数は、コンクリートの種類、品質、輸送管の径、配管の水平換算距離、圧送負荷、吐出量、単位時間当たり打ち込み量、閉塞に対する安全性、施工場所の環境等を考慮して決定する。
  5. 圧送開始前に、コンクリート中のモルタルと同程度の配合のモルタルを圧送する。
  6. 圧送は連続的に行い、出来るだけ中断しないようにする。
  7. ポンプ車の操作はコンクリート圧送施工技能士によることが望ましい。
    コンクリート圧送施工技能士とは、国家資格である技能検定制度の一種で、都道府県知事が実施する、コンクリート圧送施工に関する学科及び実技試験に合格した者をいう。


(3) 締固め

コンクリートは、十分な締固めを行って密実としなければ、水密性や耐久性に劣る構造物ができあがってしまい、所用の品質を得る事が出来ない。締固めには通常、内部振動機(棒状バイブレータ:JIS A 8610)を使用する。これは、コンクリートの中に振動機を挿入し、直接振動を与えコンクリートの締固めを行うものである。

バイブレータにはその他、型枠振動機(JIS A 8611。型枠外側に振動機を取り付け接触させて、締固めを行うもの。)や、表面振動機(コンクリート表面に振動機を当てて、コンクリートの締固め及び表面の仕上げを行うもので、コンクリ−ト舗装などで用いられる。)、テーブル振動機(テーブル状の振動台の上に型枠を乗せ、型枠全体の振動でコンクリートの締固めを行うもの。)などがある。

コンクリート標準示方書には、内部振動機の使用方法について、下記の通り規定されている(図2.6.1参照)。

図2.6.1 内部振動機の扱い方
  1. 振動締固めにあたっては、内部振動機を下層のコンクリート中に10 ㎝程度挿入する。
  2. 内部振動機の挿入は垂直にし、その挿入間隔は振動が有効と認められる範囲の直径以下の一様な間隔とする。挿入間隔は、一般に50 ㎝以下とするとよい。
  3. 1 ヶ所あたりの振動時間は5~15 秒とする。
  4. 引き抜きは、後に穴が残らないよう徐々に行う。
  5. 内部振動機は、コンクリートを横移動させる目的で使用してはならない。
  6. 振動機の形式、大きさおよび数は、1 回に締め固めるコンクリートの全容積を十分に締め固めるのに適するよう、部材断面の厚さおよび面積、1 時間当たり最大打込み量、粗骨材の最大寸法配合、特に細骨材率、コンクリートのスランプ等を考慮して選定する。

(4)打継目

1)打継目の位置

打継目はせん断力に対して弱点となるので、出来るだけせん断力の小さな位置に設ける。やむを得ずせん断力が大きな位置に設ける場合は、「ほぞ」または「溝」を作るか、鉄筋によって補強する。打継目の方向は、せん断力を受けないよう圧縮力の方向に直角とする。床組みにおける打継目は、スラブまたは梁のスパンの中央付近に設ける。

なお、塩分による被害を受ける恐れのある海洋コンクリート構造物等は、出来るだけ打継目のない構造とする。

設計で打継目位置や構造が定められている場合は、現場(施工)の都合で変更してはならない。設計で定められていない場合は、構造物の強度、耐久性、水密性、外観を考慮しながら施工計画書で定め、それを守らなければならない。

2)打継目の施工

①水平打継目施工
  1. 水平打継目は水平な直線とすると美感上よい。
  2. 旧コンクリート表面のレイタンスや浮いた骨材を取り除き、表面を粗にして十分に吸水させる。また、モルタル又はセメントペーストを塗り、密着性を高める。
  3. コンクリート打設直前には、型枠を締め直し、余分な水分を除去する。
②鉛直打継目
  1. 打継面の型枠は、モルタル分が流出しないような構造とする。
  2. 旧コンクリート表面は、ワイヤーブラシ等で削り、粗にして十分吸水させ、モルタル等を塗った後打継ぐ。
  3. 新しいコンクリートの打込は打継面が十分密着するよう締固め、適当な時間をおいて再振動締固めを行う。
  4. 伸縮継目では構造物の接する面を絶縁する。水密を要する場合は止水板を用いることを原則とする。


(5)養生

養生とは、コンクリート打設後十分に強度を発現させ、ひび割れが生じないように、振動・衝撃・荷重等からコンクリートを保護し、一定期間適切な温度と湿度を保つことである。
養生の方法としては一般に次の方法がある。


1)湿潤養生

コンクリート打設後、表面を荒らさないで作業が出来る程度に硬化した露出面をぬれた養生マット、布等で覆うか、散水・湛水を行って湿潤状態に保つ方法である。湿潤養生の効果のほとんどは初期の養生期に限られる。

コンクリート打設後直射日光や風などにより表面だけが急速に乾燥すると、ひび割が発生する原因となるので、必ず湿潤状態に保つ処置を行う。

表2.6.1に、湿潤養生期間の標準を示す。

表2.6.1 湿潤養生期間の標準
1
 
  日平均気温 普通ポルトランドセメント 混合セメントB種 早強ポルトランドセメント  
  15℃以上 5日 7日 3日  
10℃以上 7日 9日 4日
5℃以上 9日 12日 5日


2)膜養生

湿潤養生が困難な場合に用いられるもので、コンクリートの表面に膜養生剤を散布して水の蒸発を防ぐ方法である。(養生膜は水分を通さないから一種の湿潤養生と考えてもよい)
膜養生剤散布は、コンクリート表面の水光が消えた直後に行う。

3)その他の養生

①温度制御養生
 給熱養生:何らかの熱源によってコンクリートを加熱する方法。
 保温養生:断熱性の材料で熱の放出を抑え、セメント水和熱を利用して温度を保つ方法。

②促進養生
 蒸気養生:常圧蒸気でコンクリートの硬化を促進する方法。
 オートクレーブ養生:高温高圧蒸気釜を利用してコンクリートの硬化を促進する方法。


(6)特別な配慮を必要とするコンクリート

コンクリート打設時の外気温が標準から大きく離れている場合は、コンクリートの硬化時に有害な影響を受けないようにするため、特別な配慮が必要となる。

1)寒中コンクリート

日平均気温が4℃以下になるような場合は、コンクリートが凍結する恐れがあり、寒中コンクリートとしての処置が必要である。

①材料
  1. セメントは、ポルトランドセメントを用い、コンクリートはAEコンクリートとするのを標準とする。
  2. 凍結または氷雪混入の骨材は、そのまま用いてはならない。
  3. 材料を加熱する場合は、水または骨材を加熱し、セメントを直接加熱してはならない。
②施工
  1. コンクリートの打込み時に、鉄筋や型枠に氷雪が付着していてはならない。
  2. コンクリート打込み初期に凍結しないよう、表面に風が当たらないようにする。
  3. 打込み時のコンクリート温度は5~20℃、養生中は5℃以上とする。

2)暑中コンクリート

日平均気温が25℃以上になるような場合は、暑中コンクリートとしての処置が必要である。

①材料
  1. 材料は出来るだけ低い温度で使用する(骨材や水を冷やす)。
  2. 単位水量、単位セメント量は所用の強度とワーカビリティが得られる範囲で、出来るだけ少なくする。
②施工
  1. コンクリート打設前に、型枠などで吸水する恐れのある箇所は十分湿潤にする。
  2. 打設時のコンクリート温度は35℃以下とする。打設は速やかに行い、練り混ぜてから1.5時間以内に打ち終わる(1時間以内が望ましい)。
  3. 打設後少なくとも24時間は湿潤状態を保つ。

3)その他

①マスコンクリート
 部材あるいは構造物の寸法が大きいコンクリートの場合は、セメントの水和熱による温度の上昇が顕著であるから、なるべく少なくするような配慮を行う。

②水中コンクリート 
  1. コンクリートは静水中打設とする。水中を落下させないようにトレミー管またはコンクリートポンプを使用する。この際、先端を固定し、コンクリートをかき回さないようにする。
  2. トレミー管を用いる場合は、先端がすでに打ち込まれたコンクリート柱に挿入された状態で打ち込む。
  3. 打設面は水平に保ち、所定の高さ(または水面上)に達するまでは連続して打ち込む。
③プレパックドコンクリート
 先に型枠内に粗骨材を投入し、そこにモルタルを注入して造るコンクリート。注入用モルタルは流動性が高く硬化が遅く硬化収縮が少ないものを用いる。

④膨張コンクリート
 貯水槽、プールなどの水密性を要する構造物に使用され、硬化語に体積膨張をおこし、乾燥収縮に伴うひび割れを防ぐ効果がある。

⑤流動化コンクリート
 単位水量を増大させずに流動化剤の添加によって流動性を高めたコンクリートである。隙間の少ない大口径鉄筋の構造や、複雑な形状の型枠の隅まで流動して行く。
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図・表・写真の出典 
写真2.6.1    筆者撮影
写真2.6.2    筆者撮影 
写真2.6.3   筆者撮影
写真2.6.4   筆者撮影
図2.6.1   「土木施工管理技術者指定技術講習用テキスト CPDSⅢ 一般土木工学編 改訂第1版」(一般社団法人全国土木施工管理技士会連合会)66ページ 図2.7.2
表2.6.1   「2007年制定コンクリート標準示方書 施工編」127ページ 表8.2.1 公益社団法人土木学会 

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