土木講座_2級土木合格を超えて 

第1部 土木一般

第2章 コンクリート工 

第7節 コンクリートの品質管理

本節で勉強する「品質管理」は、第4部第32章で学ぶ予定の「品質管理」とは若干異なり、「品質管理するための試験、検査」の内容である。従って、「コンクリート品質管理のためのデータの取り方」という方がよく内容を表している。

コンクリートは、硬化して構造物に必要な所要の品質となるまでに、若干の時間を要する。従って、製造から打込みまでの各段階で、その都度検査を行って、必要な性状を有しているかどうかを確認することが求められる。
工事に使用するコンクリートは、現状ではレデイーミクストコンクリートが大部分であるから、工場での品質管理が製造段階での重要な管理となる。前回述べたように、現場で荷卸しするまでは、製造者の責任である。これを要するに、施工者は、製造工場の品質管理について、事前によく確認してから契約・購入すべきであると言える。

そして、フレッシュコンクリートの段階で所要の性質を有していなければ、硬化しても求める品質にはならないから、施工者にとっては、受入れ検査が重要である。施工者にとって品質管理の第一歩は、受け入れ検査である。


(1) コンクリートの受入れ検査

コンクリートは、JIS A 5308に示されている図2.7.1のような納入書とともに配送されてくる。まず、これを見て、正しく注文した通りのものが納入されたかどうかを確認しなければならない。
   
図2.7.1 レディーミクストコンクリート納入書  

土木学会の「コンクリート標準示方書」(「施工編:検査標準」第5章)によれば、レディーミクストコンクリートの受け入れ検査は、次のように行わなければならない。
  1. レディーミクストコンクリートの受け入れ検査は、受入側の責任の下に実施し、検査の結果を構造物の発注者が確認する。
  2. レディーミクストコンクリートの受け入れ検査は、荷卸し時に行う。
  3. 検査は、以下に示す「表2.7.1 コンクリートの受け入れ検査」によることを標準とする。
  4. 受入側の専門技術者は、荷卸し時においてコンクリートが良好なワーカビリティーを有することを目視によって確認しなければならない。ワーカビリティーが適切でないと判定されたコンクリートは、これを打ち込んではならない。
  5. フレッシュコンクリートの単位水量の検査は、受入れ側と製造側の両者がその検査方法及び判定基準についてあらかじめ協議したうえで実施することを標準とする。
  6. 配合の検査は、それぞれの材料が所定の配合で製造されていることを計量印字記録により確認することを標準とする。単位水量の検査は、水の計量印字記録と骨材の表面水の補正量から計算によって求める方法を標準とする。
  7. 水セメント比の検査は、単位セメント量の計量印字記録および水の計量印字記録と骨材の表面水の補正量から算定される単位水量から求める方法を標準とする。また、アルカリ骨材反応対策の検査は、コンクリートの配合表により確認することを標準とする。
  8. 強度の検査は圧縮強度試験による。この検査で不合格となった場合、構造物中のコンクリートの強度を検査しなければならない。
  9. 重要な構造物に対しては、必要に応じて、収縮ひずみを確認する。
  10. 流動化コンクリートについては、ベースコンクリートおよび流動化後のコンクリートのスランプと空気量試験を、50m3につき1回の割合で実施するのを標準とする。
  11. 検査の結果、不合格と判定されたコンクリートはこれを用いてはならない。
  表2.7.1 コンクリートの受け入れ検査
1   
 
  項目 検査方法  時期・回数  判定基準   
  フレッシュコンクリートの状態 専門技術者またはそれと同等の技術を有する技術者による目視  荷卸し時
随時 
ワーカビリティーが良好で、性状が安定していること  
  スランプ JIS A 1101 の方法  荷卸し時
1回/日または構造物の重要度と工事の規模に応じて20~150m3 毎に1回、および荷卸し時に品質の変化がみとめられた時   
許容誤差:
スランプ5㎝以上8㎝未満:
±1.5㎝
スランプ8㎝以上18㎝未満:
±2.5㎝ 
 
  空気量 JIS A 1116 の方法
JIS A 1118 の方法
JIS A 1128 の方法   
許容誤差:±1.5%  
  フレッシュコンクリートの
単位水量 
フレッシュコンクリートの単位水量試験から求める方法 許容範囲内にあること   
  フレッシュコンクリートの温度 JIS A 1156 の方法 定められた条件に適合すること  
  単位容積質量  JIS A 1116 の方法 定められた条件に適合すること   
  塩化物イオン量 JIS A 1144 の方法 または
信頼できる機関で評価を受けた試験方法
荷卸し時
海砂を使用する場合2回/日
その他の場合1回/週
原則として0.3kg/m3 以下  
  アルカリ骨材反応対策 配合表の確認  工事開始時、および材料あるいは配合が変化したとき  対策がとられていること   
 
 

 合   
単位水量 骨材の表面水率と単位水量の計量印字記録から求める方法  荷卸し時
午前2回以上、午後2回以上  
許容範囲内にあること      
  単位セメント量 計量印字記録   
  水セメント比 セメントの計量印字記録と骨材の表面水率および単位水量の計量印字記録から求める方法  工事開始時、および材料あるいは配合が変化したとき   
  その他、コンクリート材料の単位量  コンクリート材料の計量印字記録  荷卸し時
午前2回以上、午後2回以上 
 
  圧縮強度
(一般の場合、材齢28日)
JIS A 1108 の方法 荷卸し時
1回/日または構造物の重要度と工事の規模に応じて20~150m3ごとに1回
設計基準強度を下回る確率が5%以下であることを、適当な生産者危険率で推定できること  
  ※(引用者注: 本表は「示方書」引用であって、2級土木の範囲を超えているが、あえてそのままにしてある。不明の箇所は各自の学習に期待する。   

以上のうち、試験対策として、また現場における施工管理として最小限知っておくべきなのは、スランプ試験・スランプフロー試験、空気量試験、塩化物含有量試験、そして強度試験であるから、以下にその説明を行う。


(2) スランプ・スランプフロー試験

写真2.7.1(写真2.3.1再掲) スランプ試験
スランプ試験は、フレッシュコンクリートのコンシステンシーを知るために行われる。方法の概略は次の通り。

採取したフレッシュコンクリートを、水平に設置した鉄板等の上に置いたスランプコーン(上面直径10㎝、下面直径20㎝、高さ30㎝の円錐台形型枠)に、ほぼ等しい3層に分けて詰める。スランプコーンの内面と平板の上面は、あらかじめ湿布などでふいておく。
各層は、突き棒でならした後、25 回一様に突く。各層を突く際の突き棒の突き入れ深さは、その前層にほぼ達する程度とする。
スランプコーンに詰めたコンクリートの上面をスランプコーンの上端に合わせてならした後、直ちにスランプコーンを静かに鉛直に引き上げて、コンクリートの中央部において下がりを 0.5cm 単位で測定し、これをスランプとする。
スランプコーンにコンクリートを詰め始めてからスランプコーンの引き上げ終了までの時間は、3 分以内とする。

写真2.7.1は、スランプ試験後の様子である。赤い目盛りの入った物差しは、工事写真撮影のためにいれたものであり、これによって測定するのではないから注意のこと。

スランプフロー試験は、スランプコーンを引き上げるときまではスランプ試験と同じである。
コンクリートの動きが止まった後に、広がりが最大と思われる直径と、その直行する方向の直径を1 ㎜ の単位で測る。この広がりをフロー値という。
スランプフローは、両直径の平均値を 5 ㎜ 又は 0.5 cm 単位に丸めて表示する。
コンクリートの広がりが著しく円形からはずれ、スランプフローの両直径の差が 50 ㎜ 以上となった場合には、同一バッチの別試料によって新たに試験する。


(3) 空気量試験

写真2.7.2 空気量試験器
空気量は、コンクリートのワーカビリティや強度に大きな影響を与えるので、受入時に確認する必要がある。
空気量の試験は、通常写真2.7.2に示すエアメーターで行う。試験方法を以下に示す。(JIS A 1128)

下容器を水平台の上にセットし、試料を3 層に分けて、突き棒で各層25 回突く。突き深さは前層に届く程度とする。
突き棒で突いた後、容器を10~15 回程度木づちでたたく。これを各層について繰り返す。

容器いっぱいの3層目の突き動作が終了した後、容器の上面を均し定規で平坦に均し、上蓋との接触面を布等で拭き取る。
上蓋を静かに乗せ、4 点のネジを対角線方向から閉め込む。この時、上蓋の全てのバルブは開放状態にする。
ハンドポンプにより空気室に圧力を加え、初圧力よりわずかに大きくする。
約5 秒待って作動弁を開放し、下容器を木づちでたたき、再度作動弁を押し、針が安定した位置で読み取る。

フレッシュコンクリートに含まれる空気には、エントラップトエアとエントレインドエアがあり、混和剤により混入されたエントレインドエアは、単位水量の減少、ワーカビリティーの改善、硬化コンクリートの耐凍害性の向上等の効果がある。

※エントラップトエア:混和剤を用いないコンクリートに、その練り混ぜ中に自然に取り込まれる空気泡のこと。

※エントレインドエア:AE 剤又は空気連行作用がある混和剤を用いてコンクリート中に連行させた、独立した微細な空気泡のこと。



(4) 塩化物含有量試験

レディーミクストコンクリートの塩化物含有量は、荷卸し地点で、塩化物イオン量として0.3kg/m3以下でなければならない。但し、購入者の承認を得た場合には、0.6kg/m3以下とすることが出来る、とされている。
測定方法には各種の測定器などが使用される。国土交通省中国地方整備局の編集した「監督職員のための豆知識(コンクリート編)」(ここからダウンロードが出来る)から、当該部分を引用する。(わかりやすく参考になるから、ぜひ全文を参照してほしい)

 
図2.7.2 塩化物測定の例
図2.7.2の上の写真(引用元写真-6.4)は、塩化物測定中のものである。左は、「カンタブ」という測定器を3本、採取したフレッシュコンクリートに差し込んでいるところを示す。右側写真は測定器のセンサー部分をフレッシュコンクリート注に差し込んでいるところを示している。

下の写真(引用元写真-6.5)」は、上左の「カンタブ」の全体像である。
カンタブ(QUANTAB:(財)国土技術研究センター 評価品 全生工組連・全生協組連推薦品)は、コンクリート中の水に含まれる塩化物量を測定するものである。
原理は、塩素分析のモール法を基本とし、臨床化学検査の分野のドライケミストリー( Dry Chemistry)手法を導入している。精度を損なわすに、操作が簡単な特徴がある。

カンタブをフレッシュコンクリートに差し込んでしばらくすると、水を吸い上げ、塩素イオンが存在すると茶褐色の試薬が白色に変化する。その数値を読み、換算表から塩分量を測定するものである。

その他の特徴として、電極の校正等が必要でなく、電池やコード等もないため、どこでも持ち運びが出来る、誰にでも簡単に計測でき、セメントの種類に関係なく測定できる、また、カンタブそのものを保存ができるなどがある。


(5) 圧縮強度試験

コンクリートの主要な品質のなかで、圧縮強度は判明するまでに時間を要する。通常は、上記(2)~(4)の受け入れ検査を終えた時点で、試料を採取し、型枠に入れて試験室に運び、水中養生をして材齢28日に取り出し圧縮強度試験を行う。つまり、この時まで、所要の品質であるかどうかは判明しないことになる。

供試体の作成から圧縮試験の実施までの概略次の通りである。(試験には出ないが、現場で試験者が何をしているのか知っておくことは必要であると考えて掲載する。JISよりの引用を適宜省略している。)

① 供試体の作成

 
写真2.7.3 供試体型枠
供試体は、直径の2倍の高さをもつ円柱形とする。その直径は、粗骨材の最大寸法の3倍以上、かつ、10㎝以上とする。
供試体の直径の標準は、10㎝、12.5㎝、15㎝ である。粗骨材の最大寸法が40㎜を超える場合は、40㎜の網のふるいでふるって、40mmを超える粒を除去した試料を使用し、直径15㎝の供試体を用いることがある。

写真2.7.3は、供試体型枠の例である。

コンクリートは、2層以上のほぼ等しい層に分けて詰める。各層の厚さは160㎜を超えてはならない。突き棒を用いる場合、各層は少なくとも10㎝2に1回の割合で突き、すぐ下の層まで突き棒が届くようにする。

型枠の上端より上方のコンクリートは取り除き、表面を注意深くならす。キャッピングを行う場合は、コンクリート上面が、型枠頂面からわずかに下になるようにする。

精度が検定された型枠を用いて供試体を作る場合には、直径等各項目の寸法測定は省略してもよい。

圧縮強度試験は、通常7日強度と28日強度の試験を行うので、1回につき3本計6本を採取する。

② 供試体の養生

コンクリートを詰め終わった後、その硬化を待って型枠を取り外す。型枠の取外時期は、詰め終わってから16時間以上3日間以内とする。この間、衝撃・振動及び水分の蒸発を防がなければならない。

供試体は、型枠を取り外した後、強度試験を行うまで湿潤状態で養生を行わなければならない。供試体を湿潤状態に保つには、絶えず新鮮な水で洗われるような水中又は湿潤な雰囲気中(相対湿度95%以上)に置くとよい。供試体の養生温度は、20±2℃とする。

供試体の運搬は、乾燥しないように行う。

③ 圧縮強度試験

 
写真2.7.4 圧縮強度試験の状況
試験方法 試験方法は,次のとおりとする。

直径及び高さを、それぞれ 0.1㎜ 及び 1㎜ まで測定する。直径は、供試体高さの中央で、互いに直交する 2 方向について測定する。

試験機は、試験時の最大荷重が指示範囲の 20∼100%となる範囲で使用する。

供試体の上下端面及び上下の加圧板の圧縮面を清掃し、供試体を、供試体直径の 1%以内の誤差で、その中心軸が加圧板の中心と一致するように置く。

供試体に衝撃を与えないように一様な速度で荷重を加える。荷重を加える速度は、圧縮応力度の増加が毎秒 0.6±0.4N/㎜2になるようにする。

供試体が急激な変形を始めた後は、荷重を加える速度の調節を中止して、荷重を加え続ける。

供試体が破壊するまでに試験機が示す最大荷重を有効数字 3 けたまで読み取る。

標準養生供試体の試験結果は、1回の試験結果が呼び強度の85%以上、3回の試験結果の平均値が呼び強度以上を判定基準とする。


(6) その他

補強材料(鉄筋など)の受け入れ検査や、別項で述べた鉄筋組立、型枠組立の検査なども、ひろくコンクリートの検査に含まれるが、それらは別項に譲って、詳しくは述べない。
補足すれば、鉄筋の受け入れ検査は、製造会社よりの試験成績表や、検査済み証などで確認することによる。この際、外観寸法などを測っての直接的な確認も行う。

;
図・表・写真の出典 
図2.7.1  JIS A 5308:2009 表10
表2.7.1  「2007年制定コンクリート標準示方書 施工編」201ページ 表5.1 公益社団法人土木学会
写真2.7.1  写真2.3.1再掲 筆者撮影
写真2.7.2  筆者撮影
図2.7.2  「監督職員のための豆知識(コンクリート編)」29ページ 国土交通省中国地方整備局
写真2.7.3  筆者撮影
写真2.7.4  筆者撮影 

目次に戻る  トップページに戻る  第12回へ進む

 Copyright(C) 1999~2013 有限会社水野テクノリサーチ All Rights Reserved