土木講座_2級土木合格を超えて 

第2部 専門土木

第5章 鋼構造物 

第1節 概要

鋼構造物の出題内容は、大別して3つに分けられる。一つは鋼材の性質についての知識、一つは鋼材の加工についての知識、そして鋼構造物、主として鋼橋の架設に関する知識である。

鋼構造物についての出題数は例年2問であるから、この3つが交互に組み合わされて出題されている。

たとえば平成25年度のNo.12は「鋼材の特徴」でNo.13は「鋼橋の架設工法」であった。平成26年度のNo.12は「鋼橋の現場溶接接合の留意点」でNo.13は「鋼橋の架設工法」であった。平成27年度はNo.12が「鋼橋の架設工法」でNo.13が「鋼橋のボルト接合」についてであった。こうして一回りしたのである。(鋼材の性質についての典型図である「鋼材の応力-ひずみ曲線」は平成21年度と平成24年度に出題されている。)

鋼材記号や鋼材名称に関する問題は、最近では出題されていない。従って、本講座では触れないから、日常的に接していない方は、各自適当な参考書などで確認勉強をしていただきたい。

上記のことから、本章では、鋼材の性質・特徴、鋼材の加工、鋼橋の架設工法について学ぶこととする。


第2節 鋼材の性質

はじめに、鋼とは何かについて整理しておく。

元素記号Feの鉄は、常温・常圧では光沢のある暗灰色の金属で、純度を約99.999%程度にあげる(超高純度鉄)と白く輝き、大気中ではほとんどさびない。しかし、自然には酸化物として存在するため、そうした姿は実験室内でしかお目にかかれない。

鉄は、鉄鉱石(赤鉄鉱や磁鉄鉱など)とコークスと石灰石で作る。コークスとは石炭を粉末にして加熱して作ったもので、これらを混合して焼くことによって、コークスは鉱石から酸素を分離し、石灰石はそのほかの不純物を取り除く。こうして出来た鉄は銑鉄と呼ばれる。また、この製造装置のことを高炉という。

高炉で得られた銑鉄には炭素などの不純物があり、これを次の製鋼工程で取り除く。ここでは、ケイ素、リン、硫黄などを除去し、炭素の含有率が0.5 ~ 1.7%程度に調整される。この方法には転炉と平炉がある。

このとき、含まれる炭素の量で鋼の性質が決まる。次の過去問は、平成18年度出題のものであるが炭素量についてを問うている。本欄内容ににぴったりであるから引用する。


図5.2.1 平成18年度No.12問題

上記の問題のように、鋼(この問題では炭素鋼といっている)は炭素の量によって性質が変化する。炭素鋼はその性質の変化を利用して用途目的に応じて幅広く適用する鋼種で普通鋼ともいう。一般的によく使用される鉄鋼材料であり,『鉄鋼材料』というときは、通常は炭素鋼を指すのである。

炭素の含有量が少ない低炭素鋼は低強度、高靭性で、切削性、冷間加工性、溶接性が良好である。そのため橋梁、建築等の一般鋼材として用いられる。

中炭素鋼は、冷間加工性,溶接性はやや劣るが、焼入れ・焼戻しを行うことで強度と靭性を兼備した強靭性が得られる。

高炭素鋼は、高強度、低勒性で、焼入れ硬化性が更に大きくなり、ピン・軸・工具類に使用される。特に炭素量1%以上の鋼は炭素工具鋼SK材として別に規定されている。

もう一題、平成23年度の問題を引用する。類似問題である。


図5.2.2 平成23年度No.12問題

ここで「耐候性鋼」というのは、銅、クロム、ニッケル等の合金元素を含有し、鋼材表面に緻密で密着性の高い保護さびを形成した鋼材である。そのため、塗装せずにそのまま使用することができ、さびが緻密なため内部までの腐食が抑止されるため、塗装の補修費用を節減する橋梁などに用いられている。

また、「ステンレス鋼」というのは、は鉄(Fe)を主成分(50%以上)とし、クロム(Cr)を10.5%以上含むさびにくい合金鋼のことである。JISでは主に「SUS」の略号が付けられる事から、現場では一般に「サス」とも呼ばれる。
含有するクロムが空気中の酸素と結合して表面に不動態皮膜を形成するため耐食性が高い。構造用材料用途は少ないが、さびを防ぐためのめっきや塗装をしなくてもよく、湿気の多い場所や化学薬品を扱う機械器具、厨房設備などの耐食性が必要な分野で用いられている。


鋼材の性質では、上記のような材料の化学的性質の外、物理的・力学的性質も重要である。これも過去に出題された問題を引用する。


図5.2.3 平成24年度No.12問題

軟鋼の引張試験を行うと、上記の問題の図に示すような応力~ひずみ曲線が得られる。この曲線の形状は鋼材の種類により異なるが、2級試験では上記の曲線で代表されている。

ある鋼材を引張試験機にセットし、少しづつ引っ張る。応力度は試験体の単位面積当たりの荷重(kN/㎡)で示し、ひずみ度(ε)はδL/Lで示す。このとき、各点の名称を次のように名付ける。

① 比例限度:応力度とひずみ度が直線的に変化する範囲すなわち応力度とひずみが比例する範囲を比例限度(A)という。この傾きを弾性率という。

② 弾性限度:ややカーブを描くが、応力を取り去ると伸びは元に戻る限度の点を弾性限度(B)という。弾性変形の最大限度である。

③ 上降伏点:弾性限度を超えて応力を増加させると、応力度が増えないのにひずみが急激に増加し始める点がある。ここはひずみが元に戻らなくなる点で、上降伏点(C)という。
なお、上記問題の図には記号がないが、C点から右側ではいったん下がっている。この下がったところを下降伏点ともいう。

④ 最大応力点:鋼材の最大引張強さを示す点(D)。直ちに破断しないが、さらに応力を継続して加えると一般に応力は低下するが破断に至る。この破断した時の 応力を破断応力という。

⑤ 破壊点:図の右端でグラフが終わっている。これは、鋼材の試験片が破断したことを示す点で、破壊点という。鋼材の最終的な強度である。

ただし、この図は荷重が増加して鋼材が伸び、試験片の断面積が小さくなっても、断面積 A は一定として計算している。そのため、実際の変形曲線を忠実に表しているのではない。この形の応力を公称応力、実際の応力を真応力という。
                             
問題の解答 
図5.2.1  (2)
図5.2.2  (3)
図5.2.3   (4)

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