原位置試験

原位置試験のうち、標準貫入試験はとくに重要であるから別に説明している。ここでは、そのほかの原位置試験について説明する。

なお、「表1.1.1 主な原位置試験(土工の調査対象)」と順序が若干違うが、最初に土の構成を説明する必要上こうなったので了承願いたい。
(1) 単位体積質量試験
現場における地山または盛土の単位体積質量(密度)を求める試験で、一般に「砂置換法(JIS A 1214 「砂置換法による密度試験方法」※)」が用いられる。

 ※JISの表記にはたとえば「JIS A 1214:2001」のように年度を表記するのが正しいが、本サイトでは通常省略する。

現場密度とは、木工工事の現場で測定される土の密度をいう。
 
 図 1  土の構成模式図

土は図1のような構成をしている。土の密度とは、図のような空気、水、土粒子(その他の成分も含む)をひとまとめにして考えたとき(これを土とよび土粒子と区別している)の単位体積当たりの質量をいう。

土の単位体積当たりの土粒子と間隙に含まれている水の質量を加えたものを湿潤密度、土の単位体積当たりの土粒子の質量(水は資料中から蒸発させる)を乾燥密度という。したがって、現場で測定できるのは湿潤密度である。
実際は、両密度を知るため、現場から乾燥しないようにした試料(土)を試験室に運び、そこで測定する。

現場での試験方法は、測定する地盤の土を掘り起こして試験孔をあけ、試験孔から掘り出した土の質量を直接測定し、密度が既知の他の材料(豊浦硅砂(豊浦標準砂)など)を試験孔に充填し、その充填に要した質量と密度から試験孔の体積を求める。
 写真1   試験孔を掘る  写真2   試験孔完了  写真3   砂で置換
 
 図2 砂置換法の原理と器具
【RIによる現場密度測定】
放射線のうちγ線は他の物質中を透過する際、その物質との相互作用により減衰するが、減衰率は物質を構成する原子の密度に依存する。従って、γ線を物質中に透過させれば、その透過率を計測して原子の密度を知ることができる。
この原理を応用して土の密度を測定する方法が「ラジオアイソトープ(RI)法」(地盤工学会基準(JGS 1614))である。

     
 参考写真 RI測定機の例                    参考図 RI計器による測定 
なお、現場密度試験方法としては、このほかに、粗粒分を含まない粘性土を静的に切り出して切り出した分の質量と体積を測定して密度を求める「コアカッター法」(地盤工学会基準(JGS 1613))がある。
(2) 現場透水試験
現場に井戸を掘り、地盤の透水係数を直接測定する試験である。多くの場合標準貫入試験の終了したボーリング孔を利用する。試験方法には以下の方法がある。
@ 地下水を井戸からくみ上げて回復する時間を測定する方法。(図3左)
A 井戸に水を注入して水位の低下する時間を測定する方法。(図3右)
ボーリング孔を利用する場合、ボーリング時に使用したベントナイト泥水が孔壁に残っていると、地下水の浸透が妨げられるから、良く洗浄することが大切である。
 
 図3 現場透水試験説明図
(3) スエーデン式サウンディング試験
 「サウンディング」とは、土中にロッド先端に付けた抵抗体を挿入し、貫入・回転などの荷重をかけ、その際の抵抗から地盤の性状を知るものである。
サウンディングには動的な試験と静的な試験とがあり、標準貫入試験は代表的な動的試験である。(他に、「土研式円すい貫入試験」がある。

スエーデン式サウンディング試験(JIS A 1221)は、次のような手順で行う。

図4のようなロッドの先端に、円錐形をねじったような形状のスクリューポイントを装着して、端にスクリューポイントを取り付け、それを地面に垂直に突き立てる。
ロッドには、自由に上下させたり途中で固定もできる受け皿(クランプ)を通され、上端には水平にハンドルが取り付けられている。
クランプに円筒形のおもりを1枚ずつ静かに載せていき、1枚載せるたびに、ロッドが下方に沈むかどうかを観察し、記録する。

おもりは最初に50Nの荷重を載荷する。
荷重でロッドが地中に貫入するかどうかを確かめ、貫入する場合には貫入が止まったときの貫入量を測定し、その荷重の貫入量とする。また、このときの貫入状況を観察する。
次々と荷重を増加して以上のの操作を繰り返す。荷重の段階は、50N、150N、250N、500N、750N及び1000Nとする。

ロッドの長さは最長で1mなので、それ以上貫入させることができなくなった場合は、おもりとハンドルを一旦はずし、新たにロッドを継ぎ足した後、ハンドルを装着し直した上でクランプを所定の高さまで引き上げて、再度、作業を繰り返す。
ハンドルの回転数は、180度を1回とカウントする。
 図4 スエーデン式サウンディング試験器
(4) ポータブルコーン貫入試験
   

現場では別名のコーンペネトロメータ試験のほうが通りやすい。
簡易な試験なので、トラフィカビリティ(建設機械が現場を走行するとき、機械の走行に耐えうる地面の能力をトラフィカビリティという。この度合いを示すのに、コーンペネトロメ一夕で測定したコーン指数qc が使われる。値が大きい程走行しやすい。)を測定するのに使用される。
地盤工学会基準(JGS 1431)に規定されている。

測定されるコーン貫入抵抗にロッドの周面摩擦が含まれる単管式と、ロッドの周面摩擦を除いてコーン貫入抵抗を測定できる二重管式がある。(図5及び写真4は単管式)
単管式の適用深さは3〜5 m 程度であり、これ以上の深さで試験する場合は二重管式を用いる。人力圧入であるから固い地盤には適さない。

ロッドを鉛直に立て、貫入用ハンドルを用いて連続的に貫入する。貫入速度は10 mm/s を標準とし、測定間隔100 mm で荷重計の読み値を記録する。
地表面又は基準点(貫入試験機以外)からコーン底部までの貫入長を測定する。
必要な貫入長に到達した場合、貫入不能となった場合、試験を終了する。
 図5 ポータブルコーン貫入試験器  写真 4  ポータブルコーン貫入試験状況  
(5) オランダ式2重管コーン貫入試験
JIS A 1220 に規定されている。

周辺摩擦の影響を取り除くために2重管にしたロッド先端にマントルコーン(図6参照)を取付け、静的荷重によりマントルコーンを5p貫入させたときの圧入力によりコーン指数を求めるものである。
圧入装置によるため、比較的固い地盤でも測定できるが、装置が大きいため機動性に欠ける。

測定の際の貫入速度は1cm/secとし、測定間隔は25cmとする。
@外管を押し、貫入先端を測定深さまで貫入させる。
Aその位置で内管を押し、マントルコーンだけを約5cm貫入したときの圧入力を読み取る。
Bこの深さの測定が終った後、最終測定深さまで@及びAの操作を繰り返す。
C測定の際、内管が自重で沈下する場合は、沈下の状況を観察し,内外管自沈として、その深さの測定を終   わる。
D測定の際、内管及び外管が自重で沈下する場合は、内管が浮上してくる深さまで、次々と内外管を足して圧  入を続け、その間は内外管自沈としてその深さの範囲の測定を終わる。

 図6 オランダ式2重管コーン貫入試験  
(6) ベーン試験






ロッドの先に付けたベーン(長方形の4 枚羽を十字型に組み合わせたベーンブレード(図8)とベーンシャフトから構成される)を所定の試験深さまで地中に押し込み、回転させたときの回転抵抗から原位置でのベーンせん断強さを求める試験。
地盤工学会基準 JGS 1411 に規定されている。
この試験は、粘性土地盤を対象とする。繊維質を多く含む泥炭などに適用する場合は、十分な検討を必要とする。

試験器には2種類あり(図7) ボアホール式は、ボーリングによって試験孔を掘削した後、ベーンを孔底から地中に押し込み、所定の深さで試験を行う形式のもの。
押込み式は、ベーンを地中に押し込み、所定の深さで試験を行う形式のもの。押込み時にベーンを保護するためのケースと、回転ロッドと土の摩擦の影響を除くための保護管を有し,二重管構造になっている。

回転ロッドにねじりを与えないようにして、ベーンを孔底から所定の試験深さまで押し込む。ベーンの押込み速度は,20o/secを超えない一定速度とし、可能な限り打撃や振動を与えることなくまっすぐ地中に押し込む。
ボーリング掘削した孔底からベーンを押し込んで試験する場合は、ボーリング孔径の5 倍以上の長さまで押し込んだ後,試験を行う。押込み式の場合、地表面から所定の試験深さの0.5〜0.8 m 上まで、ベーンを保護管と共に地中に押し込み、さらにベーンのみを所定の試験深さまで押し込む。このとき、ベーン保護ケースからベーンブレード幅の5 倍の長さ以上ベーンを押し出してから試験を行う。 
 ボアホール式 押し込み式 
 図7 ベーン試験器  図8 ベーンブレード
(7) 弾性波探査試験
弾性波探査とは、地下を伝わる弾性波が物性(主にP波速度、S波速度および密度)の異なる境界で屈折や反射などの現象を生じることを利用して、地下構造を調査するための手法である。
弾性波の速度は、硬質な岩ほど速度が速く、また新鮮で緻密なものほど速度が速い。
探査法としては、屈折波を利用する屈折法と反射波を利用する反射法がある。

 
 図9 弾性波探査試験

(8) 電気探査試験


電気探査は、地中に設置した一対の電極から地下に電流を流し、地層の電気的な性状(比抵抗)を測定して、地下水、金属鉱床、断層などを推定するものである。 
 図10 電気探査試験

(9) 平板載荷試験

  平板載荷試験は、地盤の変形特性や支持力などの強度特性を調べるための試験である。(JIS A 1215)
締固めた路床や路盤が規定の支持力を満たしているかどうか(その上に舗装して道路とできるかどうか)などを確認する場合に行う。

実際の方法としては、鋼製の円盤(一般に直径30p)を地盤に設置し、これに油圧ジャッキ等で載荷を行い、単位面積あたりの荷重とそれによる沈下量を計測する。(図11)
荷重は、写真5のように、現場で得られるものを利用することが多い。(この写真の場合、タイヤローラー。ダンプトラックに土砂を積んで荷重にする場合もある。)
計測の結果から、荷重〜沈下曲線を描き、その傾きから地盤反力係数K値(N/p)を求める。
 
 図11 平板載荷試験模式図  写真 5  平板載荷試験の状況
(10) 現場CBR試験
CBR(California Bearing Ratio)試験は、その名称の通り、アメリカ合衆国カリフォルニア州の交通局において、路床土支持力比を求めるものとして提唱されたもので、日本においては現在、JIS A 1211で試験方法が定められている。道路設計において、路床土を評価するために路床や路盤材料のCBRを求める試験を「設計CBR試験」といい、路盤材料を評価するために路盤材料のCBRを求める試験を「修正CBR試験」という。

以上のCBR試験とここでいう「現場CBR試験」は別の試験である。
「現場CBR試験」は、「JIS A 1222 現場CBR試験方法」に定められたもので、現場における路床や路盤の現在の支持力の大きさを直接測定しようとするものである。このことから、将来の状態については推定することができない。 このため、現場CBR試験は主としてトラフィカビリティーの判定や、品質および施工管理に利用されることが多い。
 
  試験は、地表面に置いた貫入ピストンを所定の深さに貫入させるときの荷重強さを測定し、その貫入量における標準荷重強さ(代表的なクラッシャーラン採石を使って供試体を作成し、貫入試験を繰り返して、その平均値をCBR100%とする)と比較して相対的な強さを求めるものである。

試験手順は以下のように行う。(JIS A 1222 より)

 @試験箇所の表面を直径約30cmの水平面に仕上げ、乾燥砂を薄く敷きならす。
 A試験装置を組み立て、試験面に荷重板を4個載せる。
 B貫入ピストンを試験面に密着させるために0.05kN以下の荷重を加える。
   このときの荷重計及び貫入測定装  置の読みを初期値とする。
 C貫入ピストンを1o/minの速さで貫入させ、貫入量が0.5o、10o、15o、20o、25o、30o、40o、50o、
   75o、100o及び12.5oのとき、荷重計の読みを記録する。
   貫入量が125oになる前に荷重計の読みが最大値に達したときは、そのときの荷重計の読みと貫入量を
   量を記録しておく。
 D貫入試験の終了後、ピストン貫入部付近から試料を採取して含水比を求める。
 
 図12 現場CBR試験


図表の出典 
 図1 地盤工学会 「地盤工学数式入門」p.13 地盤工学会 2001年
 図2 公益社団法人地盤工学会 地盤工学・実務シリーズ30「土の締固め」p.31 公益社団法人地盤工学会 2012年
(地盤工学会 土質工学ライブラリー36「土の締固めと管理」「3.3.2締固め度の測定方法」p.183〜216 1991年) 
 参考図 財団法人地域開発研究所 土木施工管理技術テキスト土木一般編(改訂第10版第2刷)p.13 2010年
 図3 財団法人地域開発研究所 土木施工管理技術テキスト土木一般編(改訂第10版第2刷)p.18 2010年 
 図4 財団法人地域開発研究所 土木施工管理技術テキスト土木一般編(改訂第10版第2刷)p.15 2010年 
 図5 財団法人地域開発研究所 土木施工管理技術テキスト土木一般編(改訂第10版第2刷)p.15 2010年 
 図6 財団法人地域開発研究所 土木施工管理技術テキスト土木一般編(改訂第10版第2刷)p.16 2010年 
 図7 地盤工学会JGS1411
http://www.jiban.or.jp/file/organi/bu/kijyunbu/kouji/201111/JGS1411_201107.pdf  
 図8 財団法人地域開発研究所 土木施工管理技術テキスト土木一般編(改訂第10版第2刷)p.16 2010年 (一部分) 
 図9 財団法人地域開発研究所 土木施工管理技術テキスト土木一般編(改訂第10版第2刷)p.11 2010年 
 図10 財団法人地域開発研究所 土木施工管理技術テキスト土木一般編(改訂第10版第2刷)p.11 2010年 
 図11 公益社団法人地盤工学会 地盤工学・実務シリーズ30「土の締固め」p.36 公益社団法人地盤工学会 2012年
(地盤工学会 地盤調査の方法と解説 pp.493〜556 2004年) 
 図12 公益社団法人地盤工学会 地盤工学・実務シリーズ30「土の締固め」p.36 公益社団法人地盤工学会 2012年
(地盤工学会 土質工学ライブラリー36「土の締固めと管理」「3.3.2締固め度の測定方法」p.183〜216 1991年) 
 写真  写真1〜3は筆者撮影。そのほかは手島 久氏(建設工事検査機構代表)より提供を受け使用を許諾されているものである。 

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