消火栓の不断水取替工事


 防災上重要なインフラである消火栓も、古くなれば痛んできます。これを新しいものに取り替えるには、通常、取り付けてある水道管を断水させて工事を行います。
 しかし、水道を断水させて工事を行うと、近隣の家庭などでは水道水が出なくなりますから、事前の広報の徹底や、工事にかかる時間によっては給水車を手配しなければならない、などの多くの準備が必要です。また復旧した後でも、管内清掃が必要となったりして、いろいろな不便が発生します。

 そこで、水道を断水しないで工事を行う方法をとる場合があります。この方法を不断水工法と呼んでいます。
 不断水工法には、大別して、機械的にバルブなどを工夫して取り付ける方法と、必要な部分近傍の管内水を凍結させ栓として利用する方法があります。

 今回ご紹介するのは後者で、液体窒素など極低温の媒体によって管内水を短時間で凍結させ、凍結の続いている間に所定の工事(今回は消火栓の交換)を終了させるものです。

写真1 着工前の状況 写真2 舗装にカッターを入れます 写真3 掘削します

 以下、順を追って工事をみていきます。

写真4 枠の撤去です 写真5 堀上がりです。かなり錆びています

 凍結工法には、大別して、ブラインと呼ばれる冷却液(塩化カルシウムの水溶液で、-30℃に冷却しても凍らない)を、地中に配置したパイプ中を循環させながら徐々に凍土を形成していく方法と、直接冷媒(液体窒素など)を送り込んで使用後は大気に放出し、次々に補給する方法とがあります。前者は比較的大規模な工事の補助工法として行われ、後者は、本例の用に小規模か緊急時に行われます。 

 凍土は、非常に強固で、筆者もシールド工事の発進部分などに採用されたのを何度か経験していますが、本例のような管内水を直接凍結する不断水工事は、過去に水道管切り回し工事で1度経験しているだけでした。

写真6 液体窒素のボンベです 写真7 発泡スチロール枠に液体窒素が入っています   写真8 盛んに熱を奪っています

 液体窒素を発砲スチロールの容器に移し、消火栓の立ち上がり部分をすっぽりとくるみます(写真7)。白煙は窒素ガスですので、この部分はおそらく酸素欠乏状態になっています。そのことから、密閉された空間での本方法採用は危険があるため、液体酸素を併用する方法もあるようです(作業している会社の特許だとのことでした)。
 今回の場合は、開いた空間ですから、窒素ガスはすぐ拡散してしまうため、こうした光景でも安心していることが出来ます。

写真9 新しい消火栓 写真10 消火栓の取り付け 写真11 プロパンガスバーナーによる解凍

 十分凍ったことを、消火栓を開けても水が出ないことで確認したら、古い方を取り外し、新しい消火栓を取り付けます。取り付けがすんだら、凍った部分を加熱して解凍します。鋳鉄管表面が焼けてしまいますので、終了後塗装をします。

写真12 解凍確認 写真13 枠復旧・埋戻し 写真14 道路仮復旧

 ゆっくり栓を開けると水が出てきます。解凍は完了しました(写真12)。あとは、元の通りに枠を復旧し、埋戻して道路舗装の復旧をすれば完成です。

 今回は、途中、材料到着待ちの時間もあったため朝から始めて昼過ぎまでかかりましたが、正味3時間ほどの作業です。

 


 
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