地盤調査

やぐら

道路の中央分離帯に足場とやぐら(三角形のはしご状のもの)が組まれています.
これは,土木工事においてもっとも基礎的な事項である,地盤の性状を調査するための地盤ボーリング作業の現場です.
ボーリングとは,地盤に穴をあけ,地盤の構成材料(土です)を採取してくることを言っているのですが,その作業の際,もう一つ重要なことを行っています.
土木や建築の仕事をしている方にはおなじみの,Nを測定するのです.(このN値の測定については,本ホームページの「土木の周辺あれこれ」に,少し詳しくのせていますので,興味のある方はそちらも同時にご覧ください.)
N値とは,簡単に言えば「ある重さである太さの鉄の棒を30センチ貫入させるのにある高さから何回自然落下させて衝撃を与えたかの回数」です.N15といえば,30センチ貫入させるのに15回衝撃を与えた地盤である,ということになります.


もう少し近寄りましょう.

ボーリングマシン

オレンジ色に塗られた機械がボーリングマシンで,いろいろな種類がありますが,これはもっとも普及しもっとも簡単な構造の物です.
発動機からベルトで垂直の回転軸(ボーリングロッド)を回し地中に貫入させていきます.その際,孔壁が崩れるのを防ぐため,ベントナイト溶液を使用します.
このあたりまでは,井戸を掘るのと同じです.海底油田などの大規模な削孔でも原理は同じです.
違うのは,N値はその場所でしか測定できない,ということです.これは逆で,地盤のありのままの姿を知るために,その場所で(現位置試験といいます),まだ掘り下げないうちにN値を知る試験(標準貫入試験といいます)を行います.
下に,標準貫入試験の概念図を掲載しますから,写真と比べてみてください.
ほかの地盤の性状は,土を採取して試験室に持ち帰り,そこでいろいろな試験をして値を得るのですが,この試験だけは違います.
N値は長い歴史をもち,土の種類(粘土か砂か)とN値がわかれば,構造物の設計に関するほとんどのことが計算できるような経験式がたくさんあります.
今では,薬液注入機械と同じボーリングマシンが使われていることのほうが多くなりました.写真は別の現場です.シートをかぶっているのが残念ですが.

別のボーリングマシン

閑話休題
私が土木の道に入った頃は,設計での調査を鵜呑みにしないで,施工者も独自にボーリング調査をすることがごく普通でした.一日中この機械のそばに張り付いて調査者のやり方を見,土をみて,自分なりに地中を想像したものです.
この機械とやぐらは,2トン積みトラックに一式が載せられるため,移動に便利で,なおかつかなり細かく分解できるために,調査者と助手が担いで山の上のような車の行かないところでも調査が出来るのです.
そのぶん,今から考えるとずいぶんいい加減なところもあり,錘を自由落下させるために巻き上げるのですが,その高さが決められた高さとはとうてい言えないばらつきや,錘の中心に穴があり,ボーリングロッドをガイドにしているため,とうてい(鉛直でないと摩擦のため)
自由落下とは言えないような場面もありました.
ベテランの調査員になると,ある程度の回数の調整(!)がきくようなこともありました.
そんなわけで,早くからあまり厳密でない試験方法なので,厳密さを求めるべきだという意見がありました.
しかし,なんと言ってもその簡便さにはかなわず,ようやく客観的=科学的な自動化装置がJISに取り入れられた(自動手動の両方併記ですが)のは,2001年です.

いまでは,土木の世界も専門化が進み,設計や施工の土木技術者は,ほとんどボーリング作業を知りません.設計書についてくる結果としての柱状図および黒表紙の分厚い試験報告書を見るだけです.

地盤調査の装置(クリックすると説明ページに飛びます)

標準貫入試験装置および器具の名称
参考:「土木の周辺あれこれ」標準貫入試験の解説ページへ

 

 

身近な土木INDEXに戻る