日本経緯度原点(東京都)
PartVの3回目になって、ようやく「日本経緯度原点」にたどり着きました。

土木にとって測量はつきものですが、測量には座標がつきものです。しかし、一般の土木工事現場での測量では、水準測量ほどは緯度や経度は使いませんが。それでも、いくら現在はGPSや超長基線電波干渉計などによっているとはいえ、やはり地表の実物を見てみたいものです。(なお、茨城県つくば市にある国土地理院へも以前訪問しています。こちら。最下段にこの「超長基線電波干渉計」の観測局動画があります。)

これまで、 「日本水準原点」や「霊岸島水位観測所」を見て来たのも、そうした考えからでした。

「日本水準原点」は、本シリーズでの訪問後東北地方太平洋沖地震によって変動しています。(その結果はこちらの国土地理院リンクをご覧ください。)今回訪問した「日本経緯度原点」もやはり変動していますので、現況がどうであるか知りたいところでした。

訪問当日は2013年7月25日(木)で、あいにく天候は曇り、しかも時々雨がぱらついていますので、写真撮影には余り良いコンディションとはいえませんが、それは仕方がありません。

東京メトロ日比谷線神谷町駅で降り、飯倉交差点とフィジー大使館の手前、ロシア大使館の脇の道を入ります。

   
 写真1 国道1号飯倉交差点  写真2 右側がロシア大使館

この道はアフガニスタン大使館の入り口に突き当たりますが、その右手にちょっとした公園のような緑地があります。

   
 写真3 日本経緯度原点遠景  写真4 日本経緯度原点近景

写真3には写っていませんが、左手にアフガニスタン大使館の入り口があります。背後の建物は分譲マンションです。

この場所は、1874年(明治7年)に海軍水路寮の観象台が設置された場所と言うことです。その後観象台は1888年(明治21年)に東京天文台に移管され、さらに1892年(明治25年)に参謀本部陸地測量部がこの天文台の子午環(天体の子午線通過時の高度角を正確に計測することができる特殊な望遠鏡。メルツ・レプソルド子午環。)の中心を日本経緯度原点として定めたものとされています。つまり、最初から現在まで、場所そのものは移動していないのです。

しかし、1923年(大正12年)の関東大震災により、子午環が崩壊したため、その跡に金属標を設置し、今日に至っている、というのが定説でした。

ところが、「国土地理院広報507号」(2010年9月)には、「日本経緯度原点を測った子午環と子午儀の再発見」という記事があり、それによれば、崩壊どころか現在は復元されているとのことです。(正確には、破壊したのは「子午環」で、復元されたのは「子午儀」のようです。)

   
 写真5 正面より見る  写真6 側面より見る

写真5の左端、写真6の中央平たい石造りが、「日本経緯度原点」です。そのほか、敷石の上に何かを置いたような跡とか、写真5手前のような基礎石らしきものもありますが、正確にはわかりません。説明もありませんでした。

   
 写真7 日本経緯度原点  写真8 日本経緯度原点金属標(右端の◯)

「日本経緯度原点」と刻まれた台をアップにしてみました。なお、写真8の「金属標」については、「測量法施行令」には次のようにあります。

(日本経緯度原点及び日本水準原点)
第二条  法第十一条第一項第四号 に規定する日本経緯度原点の地点及び原点数値は、次のとおりとする。
一  地点 東京都港区麻布台二丁目十八番一地内日本経緯度原点金属標の十字の交点
二  原点数値 次に掲げる値
イ 経度 東経百三十九度四十四分二十八秒八八六九
ロ 緯度 北緯三十五度三十九分二十九秒一五七二
ハ 原点方位角 三十二度二十分四十六秒二〇九(前号の地点において真北を基準として右回りに測定した茨城県つくば市北郷一番地内つくば超長基線電波干渉計観測点金属標の十字の交点の方位角)
2  法第十一条第一項第四号 に規定する日本水準原点の地点及び原点数値は、次のとおりとする。
一  地点 東京都千代田区永田町一丁目一番二地内水準点標石の水晶板の零分画線の中点
二  原点数値 東京湾平均海面上二十四・三九〇〇メートル

第2条1の「金属標」というのが該当します。写真8では「十字の交点」までは見えないのが残念ですので拡大(写真9)してみます。

    
 写真9 金属標拡大 写真10 国土地理院説明版 

写真10の説明板のほかに、「港区指定文化財」の説明版もありますが、ここでは、写真10の方の説明(国土地理院の説明)を引用します。(説明版の右の柱については、うっかりしてよく見てくるのを忘れました。)「方位角」については、先の「測量法施行令」第2条2の ハ のカッコ内に説明があります。

日本経緯度原点
日本経緯度原点は、わが国における軽度と緯度を測定する基準となる点である。明冶25年(1892年)に東京天文台の子午環(特殊な望遠鏡)の中心を日本経緯度原点と定め、その経度、緯度および方位角を原点数値として決定した。
対象12年(1923年)の関東地震では子午環が崩壊したため、日本経緯度原点の位置に金属標を設置した。
平成13年(2001年)の測量法改正により、測量の基準として世界測地系を採用した。この改正に伴い、新たな原点数値を世界測地系に基づき決定した。
その後、平成23年3月11日の東北地方太平洋沖地震による地殻変動に伴い、日本経緯度原点が東へ27センチメートル移動したため、原点数値を以下の値に改正した。

原点数値
経度 東経139°44′28.8869″
緯度 北緯 35°39′29.1572″
方位角   32°20′46.209″
(つくば超長基線電波干渉計観測点に対する値)

平成23年10月21日 国土地理院

当然ですが、「測量法施行令」の数値と同じです。

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