鋼矢板立坑工事


 地盤を掘削するためには、周囲の土砂が崩れてこないようにする必要があります。浅い場合は、何もしないでいても土の粘着力で自立しますが、ある程度深い掘削(通常は1.5m程度以上)では土留め壁を先に設け、それに守られながら内部を掘削することになります。
 土留め壁の種類は、掘削する深さによって、簡易なものから十分剛性と止水性が保たれるものまでたくさんありますが、今回は、その代表的な材料である鋼矢板による推進工事の立坑土留めをご紹介します。

 鋼矢板を地中に埋め込む(打設する)ためにも、これまたいろいろな工法があります。以前は、単気筒エンジンのようなディーゼル・ハンマーでの打撃や、振動を与えて地中に強制的に押し込むバイブロ・ハンマーなどが盛んに使われましたが、前者は音と油の飛散、後者は振動のために、特に民家近くでは使われなくなり、それに替わって油圧により圧入する工法が広く使われるようになりました。
 ここでご紹介する方法は、その油圧圧入機によるものです。 

写真1 圧入機の搬入 写真2 クレーン

 以下、順を追って工事をみていきます。

写真3 圧入機の組立て 写真4 布掘り

 鋼矢板打設ラインの、舗装と路盤を撤去します(写真4)。埋設管は必ず掘り出して目視確認します。水糸と下げ振りで鋼矢板打設が支障しないか、慎重な作業です(写真5)。 

写真5 埋設管の確認 写真6 1枚目打設  

 油圧圧入機での打設作業は、反力をそれまでに打設した鋼矢板にとりますが、1枚目はそうはいかないので、これから打設する予定の鋼矢板の重量でまかないます。(写真6)。
 あとは圧入機の後部を既設部分に載せ、油圧クランプでつかみ反力をとり、次の鋼矢板を圧入します。下部クランプと圧入部分のクランプを交互につかんだり離したりしながら、尺取り虫のように前進して行きます。

写真7 打設中 写真8 コーナー部分

 鋼矢板は止水性をもった土留めですが、セクションがかみ合わないとそこから土砂や水が内部に進入しますから、全体がセクションでかみ合うよう、鉛直性や距離をうまく調節しながら打設し、閉合します。

クレーンで鋼矢板をつり上げ、圧入機に差し込むため、上空の架空線にも注意を払います。
電線防護管で防護しています。
写真9 打設中全景

 打設が終わると、内部を掘削します(写真10)。あらかじめ安定計算で求めた位置に腹起し、切梁(支保工)を設置して掘削を進めます。立坑を道路に設置する場合は、夜間などの通行のため、路面覆工を行います。写真11は、覆工板がずれないように周囲を鋼材で囲み電気溶接をして固定しているところです。ゆっくり栓を開けると水が出てきます。解凍は完了しました(写真12)。あとは、元の通りに枠を復旧し、埋戻して道路舗装の復旧をすれば完成です。

写真10 掘削中 写真11 覆工

 この立坑は推進工事用の立坑です。全部完成し、下水道の小口径管推進工事を行っているところが写真12です。

写真12 小口径管推進工事中

 推進工事が終了すれば、マンホールを設置して埋め戻し、支保工を撤去し、鋼矢板を引き抜いて復旧します。これらについてはまた後ほどご紹介することにします。


 
身近な土木INDEXに戻る