生コンクリートの試験

 

コンクリートは,知らない人がないと思われるほど身近な建設材料です.しかし,結果としては「身近な土木」ではありますが,関係者以外にはあまり身近ではないのが本稿です.

コンクリートは,構成する要素材料をほとんど国内でまかなえ(一部は輸入も増えていますが),中でもセメント原料にはゴミや下水処理場から出る汚泥までも使われています.
コンクリートの要素材料は,セメントと砂利と砂それに水です.これらを適当に配合(建築では調合というそうです)して,放っておくと固まります.(なぜ固まるのかは,別に紹介する予定です)

各要素材料の量を正確に計量して良く混ぜ合わせると,固まった後の強さ(堅さ)までほぼ正確に推定できます.
鉄のように最初から固いものではないため,型枠という容器に入れて固めますが,そのためほぼ自由に形状を選ぶことが出来ます.
昔は,材料を計量して現場で製造していたのですが,今では,工場で製造し,運搬して型枠に打込み(コンクリート打設といいます.マスコミなどでは,流し込みなどの表現をしていますが).

この,工場で生産された,まだ固まっていないコンクリートのことを,レディーミクストコンクリートといいます.まだ固まらないコンクリートなので,フレッシュコンクリートとも言います.これを,建設業界内では「生(なま)コン」と呼んでいます.まだ固まっていないからフレッシュで,「フレッシュ=生(なま)」ですから,こう呼ぶようになったのでしょう.

生コンは,町の中を走っている大きな回転するドラムをつけた車を,ミキサー車などと呼んでいますが,これに入れて現場まで運びます.
日本でレディーミクストコンクリート工場がはじめて出来たのが昭和24年(1949年)、住友セメントが東京コンクリート工業を設立したのが始まりです。

昭和30年代から全国で続々と工場が設立され、現在、全国に約5,000工場が稼動しています。下の写真は,工場で製造した「生コン」を運搬車に積み込んでいるところ(右側)です.

運搬車

コンクリートは先に述べたように,計算で強さを推定して計量し混ぜ合わせて作りますから,もし,その推定がはずれたら,コンクリートで出来た構造物は不良品です.
計算して作ったコンクリートが固まるまで,本当に推定通りに出来ているかがわからないことが,この優れた材料の弱点であることは容易に理解できます.
通常,所定の強さになるには4週間ほどかかります.これでは,構造物はできあがってしまいます.完成して所定の強さになっていなかったら,壊してやり直すしかありません.

何とか,もっと早く(作った瞬間に)将来の強さを知ることが出来ないものか,いろいろ研究がなされて,今ではほぼ正しくわかるようになってきました.
しかし,我々の身近な見聞の中では,まだ,完璧ではありません.

従来から行われ,しかも,今でも重要性を失わない推定方法の一つを,今回写真でご紹介します.

スランプコーン

奥の方に運搬車が見えます.今からコンクリートを打設するところです.

手前の人は,その運搬車が積んできたコンクリートの一部を一輪車に抜き取り,足で固定した円錐形の「スランプコーン」(上面の内径が10p,下面の内径が20p,高さが30p)という容器に詰めています.この詰め方にも規定があります.下から7p,10p,13pほどに(等量)詰めますが,1層詰めるごとに突き棒で25回均等に突き,先端が下の層にわずかに入るようにします.
手前に置いてある黒い6本の筒は,コンクリートが固まったときに壊して強度を測るための容器です.

この後,コーンを静かに垂直に素早く(2〜3秒)引き上げます.コンクリートの柔らかさに応じて,全体が沈みますが,このとき元の高さからいくら下がったかを,中央部で0.5センチ単位で測定します.


下の写真が,それで,ハート形の台に垂直の棒があり,水平に伸びている腕で量っています.赤い数字の尺は,写真用のものです.

大きく下がれば柔らかく,あまり下がらなければ,固いコンクリートという訳です.

この値が,計算で予定した値と,大きくかけ離れれば問題ありです.

測定

上の写真手前にある,メーターのついている容器は,コンクリートに含まれる空気の量を測定する器具です.

生コンクリートのワーカビリティーの改善や,硬化コンクリートの耐久性向上のために,AE剤またはAE減水剤という添加剤を用いて,微小な空気の泡をコンクリート中に導入します.生コンは(ユーザーから指定がない限り)空気量を3%〜6%入れたコンクリート(AEコンクリート)としています.JIS A 5308では,普通コンクリート,舗装コンクリートで4.5±1.5%,軽量気泡コンクリ一トで5.0±1.5%の空気量と規定されています.
空気量試験方法は,JIS A 1128に「フレッシュコンクリートの空気量の圧力による試験方法」があります.

同じ写真の奥で,黒い容器にコンクリートを詰めています.

これは,コンクリートの強さを確認するための「圧縮強度試験用供試体」を作っているところです.JIS A 1132に,コンクリートの強度試験用供試体の作り方が規定されています.
通常,3本1組で,1週目と4週(コンクリートの強度は,通常4週目の強度で表します)の試験分,6本を作成します.大きさは,粗骨材(砂利)の最大寸法により決められており,25oでは10×20p,40oでは12.5×30pとなっています.

こうして固まった供試体を,大きな圧縮機で壊して,本当に計画通りの強度になっているかどうかを確認(JIS A 1108「コンクリートの圧縮強度試験方法」)しているのが,下の写真です.

圧縮強度試験

コンクリートの圧縮強度は,3本の平均をとって表します.通常は,安全を見込んでいるため,計画値を下回ることはありませんが,ずっと以前,ビルのコンクリートが,この試験で計画の強度を下回り,半ばできあがっていたのを壊して作り替えたニュースを新聞で見たことがあります.

このように,4週目になって始めて判明するので,それまでにできあがっていた構造物は,もし,試験の結果が思わしくなければ壊してやり直しになります.
そこで,早くから強度が推定できる試験方法が工夫されているのです.

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