首都高大橋JCT(ジャンクション)

今回は、首都高速道路株式会社と東京都建設局で工事が進められている、首都高速道路中央環状線大橋ジャンクションのご紹介です。

道路施設のうち、ジャンクションとはどのようなものか、明確な定義はありませんが、「インターチェンジ」が一般道路と高速道路の接続点に用いられていれるのに対し、「ジャンクション」は複数の高速道路同士の接続点に用いられている名称です。本シリーズでも一度工事中を取り上げた事があります。

今回取り上げるジャンクションは、中央環状新宿線・品川線と国道246号線(玉川通り)上を通過する首都高速3号渋谷線を接続するジャンクション(以降JCT)です。最大約70mの高低差がある中央環状線と3号渋谷線を接続するため、2回転のループが採用され、都会の真っただ中ということもあって、大気汚染・騒音防止など周辺環境への影響低減のため、ループ全てをコンクリート壁で覆い、また屋上を緑化する構造で出来ている、珍しい道路JCTとなっています。

このほど(2010年11月9日)、日本技術士会建設部会では、本JCT工事の見学会を開催しましたので、筆者も参加してきました。以下は、その時の印象記です。全体的なことの詳しくは、首都高速道路株式会社のホームページ、また動画などは、日建連(日本建設業団体連合会)のページにあります。大橋地区の再開発事業については東京都再開発事務所のホームページでご覧ください。これだけ大きな構造物になると、私が撮影した写真だけでは全貌はお伝えできませんので、ぜひこれらもご覧ください。

首都高速3号渋谷線 目黒川
写真1 首都高速3号渋谷線 写真2 目黒川

写真1は、国道246号線(玉川通り)の池尻入口付近(東京都目黒区)の風景です。空が見えないくらい上空が高速道路で錯綜しています。写真2はそのすぐ近くにある目黒川の様子です。桜の時期であれば、見事な桜並木が想像される景観です。

実は、この流れている水は、落合水再生センター(新宿区上落合)で高度処理をされた下水道由来の水です。この目黒川左岸の道路の脇に巨大なコンクリート構造物があります。下の写真3がそれです。

これが、大橋ジャンクション全体を囲っている構造物で、もう一部供用されています。

大橋JCT外観
写真3 大橋JCT外観

なぜ、このようなコンクリートの箱の中にジャンクションを収めたのか。

当然のことながら都会の真っただ中の高速道路建設は、走行車両の騒音・振動や排気ガスでの大気汚染対策を厳重に施す事が求められます。また、住宅街や商店街が密集している都会に、教科書通りのジャンクションを設ける用地を確保することは困難です。

そこで、平面的に構成されるジャンクション機能を、立体的に集約して用地を確保し、騒音・振動・大気汚染対策は、全体を囲うことによって処理することとなったのです。
ただ、無機質な壁で構成されては違和感があるため、幾つかの工夫が施されています。

偽窓(?) 壁面
写真4 偽窓(?) 写真5 壁面

写真3で、窓のように見える切れ目は、写真4のように近寄ると窓ではありません。違和感のないように、建物らしく偽窓を付けています。写真5は壁面で、このように凹凸と表面を荒す事によって、光の反射を柔らかくしています。

この構造物は、もう供用されていますから中を見るには車を運転して首都高を走らなければなりません。そこで、今回はその屋上に登り、一転して地下のシールド現場まで、上下方向に移動しました。

非常階段@ 非常階段A
写真6 非常階段@ 写真7 非常階段A

まず、外側に着いている非常階段を登ります。写真6は登り口、写真7は外観です。中が供用されているという事は、この非常階段も供用されているということです。

写真8 屋上@ 写真9 屋上A

写真8、9は、その屋上です。今は単なるコンクリートスラブですが、将来は屋上庭園になる予定です。予想図はこちら。

首都高高架部屋根 換気塔
写真10 首都高高架部屋根 写真11 換気塔

首都高3号渋谷線は高架なので、写真10のように屋根付きで見えます。写真11は、ジャンクション全体の換気塔です。その向こうの高層ビルは、再開発ビルです。

屋上からの眺め もうひとつの再開発ビル(地下工事中)
写真12 屋上からの眺め 写真13 もうひとつの再開発ビル(地下工事中)

将来は、屋上庭園から写真12のような眺めを楽しむことができます。写真13は、もうひとつの再開発ビルで、現在地下工事中です。

下を眺めたついでに、ループ構造の内側の様子が写真14です。右上の四角い建物は撤去されます。

屋上からの眺めA
写真14 屋上からの眺めA

これらの屋上庭園には、それぞれの超高層住宅棟から直接通じるようになるそうです。

さて、今度はまた地上に降りて、地下に入っていきます。

中央環状品川線シールド基地 大橋地区本線接続工事用シールド機組立て
写真15 中央環状品川線シールド基地 写真16 大橋地区本線接続工事用シールド機組立て

品川線の開通で中央環状線が完成するのですが、あいにくこの日は都合で内部を見ることができませんでした。大口径で超長距離(約8.4km)を1台で施工するシールド工事ですから残念ですが仕方がありません。写真15はその基地です。ちなみに、このトンネルは2本あり、それぞれ東京都と首都高速道路鰍ェ1本ずつ施工しています。

中央環状品川線大橋連結路工事では、写真16の様に、現在シールド機械の組立中でした。この機械は、上下2段のトンネルを掘削しますが、下段で使用したカッター部を一体搬出して上段シールドに再利用するDSR工法を採用しています。延長の短いトンネルでは、シールド機械の価格が相対的に高くなるため、出来るだけ再利用するのです。再利用には、複数のトンネルを1台で掘る他に、こうしたまだ使える部品を回収する方法もあります。

スペースの関係で1枚に収まりきれませんでしたが、下の写真17および写真18は、写真16のトンネルの上側にあります。もっと詳しくはこちらのリンク先をご覧ください。

上段トンネル坑口 上段トンネルと地上の風景
写真17 上段トンネル坑口
写真18 上段トンネルと地上の風景

土木構造物も、このように大きくなってしまうと、なかなか全貌を紹介する事が出来なくなります。

開削トンネル部分 掘進の済んだシールド機のカッター
写真19 開削トンネル部分 写真20 掘進の済んだシールド機のカッター

最後に、おまけのような感じですが。写真19は開削工法で施工されたトンネル部分です。天井に中間杭の切断されたものが残っています。写真20は、掘進の済んだシールド機のカッターです。欠けてもおらず、あまりすり減ってもいません。これが砂質土層であれば、もっと凄い事になっているでしょうが。

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