山砂(やまずな)

何か古墳のような形にも見えますが、これは土木にとってなじみの深い山砂の採取場遠景です。ひとつの丘陵がいまほとんど断面図を見るように削りとられています。
 山砂とは、「土木用語大辞典:財団法人土木学会編(技報堂出版)
19992151版1刷発行」によれば
《山砂 やまずな 
[pit sand] 山地、丘陵,台地等の陸地部の洪積堆積土で,建設用材料として採取される砂質に富んだ土の総称.山土ともいうが,土質分類上は砂質土に属す.(中略)透水性が良く締固めが容易であるため埋戻しや盛土等に広く利用される.(後略)》
とあります。(下線は筆者)
 また埋戻しとは、同書によれば
《埋戻し うめもどし 
[backfilling] 基礎工事等の根切りで余分に掘削された部分あるいは埋設管敷設等のために掘削された部分を,工事終了後土砂で埋めて現状に復すること.(後略)》
のことです。
 この写真で見るように、丘陵があっという間になくなるくらいに使用されたほど建設工事が行われていた時期もありました。筆者が建設業に入った
1970年代はまさにそのような時代のピークでした。今でも交通安全の観点から時々問題になる過積載は、当時は当たり前で、積載重量の2倍は普通の状態でした。ダンプ公害は、掘削した土とその後に埋戻す土の運搬の過程で起こったことなのです。
 日本の建設工事はほとんど沖積層と呼ばれる平野部で行われているため、そこから発生した土(建設残土)は、そのままでは水を多量に含んで柔らかすぎたりして埋戻しに使用できなかったのです。
 しかし、土も限りある資源です。いくら掘削した土ではそのまま埋戻しができないからといって、どんどん山を削ってしまっていいものかどうか、そんな疑問が出るのは当然のことです。それに、削る山や丘はあっても、埋め立てる場所がなくなってきました。海に埋め立てて人工島を造るといっても限界が当然あります。
 平成
310月に「リサイクル法」正式には「再生資源の利用の促進に関する法律」が施行され、これまでは建設材料として用いられなかったような、建設残土はもちろん、鉄鋼スラグ、石炭灰、コンクリート塊などの利用が促進されるようになったのも、そうした時代の要請によるものです。
 また、この法律に伴って定められた建設省令(「建設業に属する事業を行う者の再生資源の利用に関する判断の基準となるべき事項を定める省令」平成
31025日建設省令第19号)に、判断の基準として以下の表が定められています。ここには建設発生土関係のみを掲載しますが、他にコンクリート塊、アスファルト・コンクリート塊についても別表が定められています。建設現場勤務の方はもう常識でしょうが、「建設ゼロ・エミッション」実現のためにも再確認を行ったらいかがでしょうか。
 

別表第一(第四条関係)

第一種建設発生土(砂、礫及びこれらに準ずるものをいう。)

工作物の埋め戻し材料
土木構造物の裏込材
道路盛土材料
宅地造成用材料

第二種建設発生土(砂質土、礫質土及びこれらに準ずるものをいう。)

土木構造物の裏込材
道路盛土材料
河川築堤材料
宅地造成用材料

第三種建設発生土(通常の施工性が確保される粘性土及びこれらに準ずるものをいう。)

土木構造物の裏込材
道路路体用盛土材料
河川築堤材料
宅地造成用材料
水面埋立て用材料

第四種建設発生土(粘性土及びこれに準ずるもの(第三種建設発生土を除く。)をいう。)

水面埋立て用材料

 また、最近では、今までだったら使用不可能であった汚泥などを改良して使用することも行われつつあり、「建設発生土利用技術マニュアル」(建設省大臣官房技術調査室監修:1994年)や、「建設発生土利用のための開発工法概要」(建設省大臣官房技術調査室・土木研究所:平成7年)には、
  @発泡ビーズ混合軽量土工法
  A土の流動化処理工法
  B気泡混合土工法
  C袋詰め脱水処理工法
  Dサンドイッチ工法
  E繊維混合補強土工法
  Fジオテキスタイル補強盛土工法
などが紹介されています。これらは、山砂に取って代わったとは現段階ではまだいえませんが、いずれは冒頭の写真のような風景は珍しくなっていくことでしょう。

 

身近な土木INDEXにもどる