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技術士のひとりごと 2011

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2011年3月5日

技術士試験の結果が発表されました。毎年この時期は官報をダウンロードして氏名を照合する作業をします。何しろ以前は一般紙にも掲載された氏名が今では官報以外は受験番号だけなので仕方がありません。

今回はそれとは別に技術士会のホームページのデータから、受験申込者と合格者の平均年齢の推移をグラフ化して見ました。多少縦軸(年齢)をのばして強調してあります。
全体の感じとして、申込者も合格者も41.5歳くらいに収束して来ています。制度の変化した時期を除くと、それ以前より1歳ほど低下したことになります。

もう一つ気がつくことは、合格者の方がほぼ一貫して高かったのが、低くなりそうな傾向を見せていることです。

そうした目で見ると、平成18年度というのは何があったのかが気になります。平成19年度には大きな変更がありました。
①技術的体験に関することは事前に論文を提出させて口頭試験で試問する。
②選択式試験は廃止する。
③記述式試験の内容に、専門知識を問うだけでなく、論理的思考力や問題解決能力を問うものを含める。
④口頭試験の試験時間を30分から45分に延長する。
平成18年度はその前年で、すでにそうした変更はわかっていたのです。その場合平均年齢が下がったと言うことは何を意味するのでしょうか。新しい制度ではどのような勉強方法をとればよいのか解らないため、今までの勉強方法そのままで受けられるからなのか。口頭試問の時間延長を嫌ったのか。


まあいずれにしましてもその差は0.5歳ぐらいなので、たいした意味は無いのかもしれません。これからJABEE出の受験者が(もしも)増えれば、平均年齢はもっと下がるでしょう。もしも、としたのは、実はもうかなりJABEE出が増えていると思われるのに、あまりその話題がないことが理由です。JABEEは単に一次試験に取って代わっただけですから、二次試験の結果にはあまり影響を及ぼさないのかもしれません。

ともあれ、40歳くらいが平均年齢と言うことは、技術士試験という制度は案外実態を表しているのかもしれません。技術者としてばりばりなのは、今も昔もそのくらいの年齢でしょうから。

ちなみに70歳以上の受験申込社は58人でした。(平成13年、14年には250人219人でしたが、これは一次試験必須という条件前の駆け込み)。例年50~60人程度おられます。このような試験も珍しいのではないでしょうか。これはまたどう見ればよいのか。生涯現役が技術者なのだと考えておきましょうか。






2011年2月21日


またも下水道工事での事故です。新聞記事へのリンクでは、一定時間たつと消えてしまうので、ここでは引用して置きます。

日本経済新聞20日朝刊
【工事で生き埋め 作業員1人死亡 宮崎】見出しは1段です。人名は○で表しています。
【19日午後3時55分頃、宮崎県日南市北郷町大藤の市道で、下水道工事のために掘った穴の周囲の土砂が崩れて作業員の男女2人が生き埋めになり、同町郷之原、建設会社臨時社員○○○○さん(50)が搬送先の病院で死亡した。もう1人の男性(24)は軽傷。日南署の発表などによると、2人が縦8メートル、横1メートル、深さ2.5メートルの穴の底で、下水道管の交換作業を行っていたところ、突然、穴の側面が崩れた。事故当時、土砂崩れ防止のため側面に設置する板は外された状態だったという。】

ニュースサイトの動画は、そのうち消えますからユーチューブにリンクを張っておきます(こちらもそのうち消えるでしょうが)。

【もう少ししたら救急車がくるよ】など、生々しく悲しくなります。死んだ方は胸まで埋まった(同日読売新聞記事)と言いますから、呼吸ができなくなったのでしょう。もう1人の方は腰までだそうですから、動けはしないが呼吸はできて助かったのでしょう。

さて例によって警察は、【作業工程に問題がなかったか、建設会社の関係者や現場責任者から事情を聴いている。業務上過失致死容疑での立件も視野に入れている。】(読売新聞)という観点で捜査をしているようです。
動画を見ると(7秒ぐらいのところから見える。34秒くらいから後ははっきり見える)土留めは簡易土留めで、並べてあるところを見ると、崩壊時点では記事のように設置していなかったようです。以前のこの欄に書いたことと全く同じ事故がまたも繰り返されたわけです。

事故というのは、このように繰り返し同じ原因で起こるもので、この世で全く新しい事故などというのは、滅多に起こらないのです。なぜそのように繰り返し同じようなことが起こるのか。「自分だけは大丈夫だ」と理由無く思い込んでしまうことが第一ですが(人間は戦争に行くにも自分だけは生きて帰ってくると思い込む。これは、生物としての脳の性質としか言いようがない)もう一つ、事故が起きると責任追及だけが行われ、原因追及と再発防止処置がおざなりにされることが大きな理由として挙げられます。

どんなに強固な地盤に見えても、人がその中で仕事をしているのだから土留めはしなくちゃな、という、平時であればごく常識的な考えに行き着かないのは、原因に対するアプローチがどこでも行われていないからです。誰かが責任を追及され、書類送検や起訴などをされると、それを免れた人は「俺も気をつけよう」とは思わずに「俺は大丈夫だ」と思います。土は崩れる物だから土留めをしようと納得する機会が無いのです。

だから、どんな小さな事故でも、警察の責任追及とは別に、政府の重大事故時の事故調査委員会のような組織を発注者とは独立した機関として設置し、責任追及には触れないで原因追及だけを行わせることが必要であると考えます。発注者が行えば、発注者責任が問えなくなりますから、何らかの形の独立委員会が必要です。この機関では、責任追及はしないで、土木技術者や建設業経営者に、事故の真相を伝えるだけが役目であるとします。無報酬ではつらいものでもありますが、どこかの技術者団体が公益法人として行えないでしょうかね。労働基準監督署は、法違反だけを追求しています。警察と同じです。問題は法違反では無いのです。





2011年2月10日

私はお酒を呑みます。という訳ではないのですが、機会があって歴史のある(創業300年)造り酒屋さんを見学できたので、今回はその模様です。この酒蔵は、所在する町(この町の名前もまた楽しい)の特産品ページに掲載されていますが、県下最大の出荷量を誇っているとあります。最近では、「酒=日本酒」と言わないと通じなくなっているのは、少し悲しいですけれど。

といっても、お酒の造り方などについては、私はこの会社とは違う某酒造会社の「日本酒ゼミナール」(今は無いようで、「日本酒通信講座」となっている)を卒業していますから、一通りの知識はあります。また、茨城県技術士会で、こんな見学もしています。しかし、実際のお酒造りの現場には行った事がなかったので、興味津津でした。残念ながら試飲は運転の関係で出来ませんでした。

2月2日の日経新聞「200年企業ー成長と持続の条件」には、なぜ酒には「正宗」という名が多いかの説が紹介されていました。記事の本体は私の卒業した「日本酒ゼミナール」の会社なので、面白く読みました。見学した酒屋さんのブランドも○○正宗でした。

写真1は見学先の正門です。300年の歴史を感じさせるたたずまいです。本当に300年前のものかどうかはお聞きしませんでしたが。
 門  見学路
 写真1  写真2
さっそく中に入れてもらいました。全員キャップをかぶります(写真2)。当然といえば当然の事ですが、空気中のほこりなどがお酒に悪影響を及ぼすのです。

残念ながら当日は、工場全体が一通りの酒造がすんだ後で稼働していませんでした。しかし、さすがは食品しかも麹菌を扱うところらしく、ぴかぴかにきれいでした(写真3)。中には私が泥水シールド現場に従事していた時代におなじみだったフィルタープレス(写真4)もあって、しぼりたての酒粕を買って(!)帰りました。
 清潔な工場内  搾り機
 写真3  写真4
外に出ると駐車場の土留めには酒甕が使われていて(写真5)良い雰囲気を醸しています。敷地の片隅には、巨大な木の桶とこれまた巨大な鉄の釜(右)が置いてあります(写真6)。今はすっかり近代化というか機械化されていますが、つい最近までは、こうしたものが使われていたのだと思います。
 酒甕の土留め  古い桶と釜
 写真5 写真6

帰りには(自分への)お土産に1本お酒を買いました。
この町の町名の由来は同じサイトにあります。養老の滝伝説のような、なんとも酒呑みには嬉しい話です。







2011年1月30日

以下のような事を呟くと笑われるのは必定ですが、本欄は「ひとりごと」なのでまあいいでしょうということにします。

昨日用事があって大型家電の店に行きました。ちょっと時間が余ったので、パソコン売り場を流してみました。私は自作派のはしくれと思っているので、たんに流すだけでしたが、並べてあるパソコンのモニターに、張り紙がしてありました。「このパソコンのOSは64ビットです」という様な事が書いてあります。「おや」と思い、ずっと仕様を見ていくと、なんと並んでいるパソコンは、デスクトップ、ノートを問わず、OSが全て64ビットでした。

今年の初めころ(つい最近です)何気なく読んだパソコン雑誌に、「今がパソコンの買い時です」という様な記事があり、その理由として「春のパソコンは64ビットに移行する。まだ周辺機器が対応していないことも多いので、32ビットOSを搭載しているパソコンを購入するのは今が最後の機会」とありました。春のパソコンとは例年新入生や新学期や新入社員をターゲットにしている商品と理解していたので、もう少し先の事かと思っていましたから、ちょっと驚きました。

ついでに書店によってパソコン雑誌の最新号を立ち読みしてみると、CPUも新型が出ているとありました。これではマザーボードも買い替えなければ新しくは出来ません。家に帰って、通販のパソコンを調べてみると、それらも全て64ビットOSになっているようです。

ちょっと考えて私の環境を調べてみました。スキャナとインクジェット・プリンタには64ビット版のドライバがありダウンロードできます。しかし、レーザ・プリンタにはありませんでした(古いからね)。ということは、新たに自作したら、レーザ・プリンタを買い替えるか、インクジェットのみにするかです。ソフトウエアはOffice以外はまあ殆ど全部が古いから全滅でしょうか。さてどうしましょうかねえ。

別に今の環境で不足はないのだから、64ビットに乗り換える必要はない。いやいや、世の中全部が動いている方向に、自分一人(でもないが)が乗り換えないのは、いずれ不都合をもたらす。迷いますね。スマートフォンも持っていのに、やたら先走って考えるのはどうかと思うのが正解ですか。





2011年1月17日


昨年の今日もこの欄に書きましたが、1995年の今日は、阪神・淡路大震災(「兵庫県南部地震」が気象庁による正式名称です。一般には「阪神・淡路大震災復興の基本方針及び組織に関する法律(平成7年法律第12号)」に代表されるようにこう呼ばれています)」の発生した日です。

この地震は、我々土木屋にとっては歴史を分ける分水嶺のようなもので、この日以前とこの日以後では、土木構造物というものに対する考え方・見方がガラッと変わりました。示方書類も変更されました。耐震設計という言葉とその内容も常識的になりました。もちろん、土木屋だけでなく、国民全部も同じことですが。

土木構造物が、かくも無残に破壊されてしまうという事だけでなく、人口減少時代の都市はどうなるのか(神戸市は人口が減った)、避難所に象徴される独居老人はどうなるのか、など多くの社会的問題の萌芽が人々の脳裏に植え付けられました。何といっても、大都会東京圏で同じような災害が起これば、避難所など出来るわけはない、という認識が広がってきた事が新しい動きです。

卑近な例ですが、技術士建設部門二次試験筆記必須問題では、毎年のように繰り返して将来の地震災害にどう対処すべきかの設問が投げかけられています。単に、一つ一つの構造物の耐震設計の問題ではなく、人間の住むところ(都市であれ田舎であれ)はどうあるべきかの問題になったのです。

いろいろなところでいろいろな人がこの日を機会に物を言ってもらえればよいと思いますが、8:30現在時の政府からは何もコメントが無いようで、報道されていません。残念です。まだ16年なのに、もう記憶の継承問題が出てきているのは寂しい限りです。

では、記憶を新たにするため昨年と同じですがデータを再掲します。もっと詳しくは総務省消防庁のサイトに確定報がありますので参照してください。

総務省消防庁のまとめた阪神淡路大震災の被害状況
死者6,434人
重軽傷者43,792人
行方不明者3人
住宅全壊104,906棟(186175世帯)
同半壊144,274棟(274182世帯)
同一部破損390,506棟
火災293件(延べ835,858㎡)
建物全焼7,036棟
同半焼96棟






2011年1月10日

昨年11月18日の本欄で取り上げましたが、「旧石器遺跡ねつ造事件」(先の欄では、なにかかなり怒っていたようで、書名も書いてなければ「旧石器ねつ造」とまでなっていました。書名は【
旧石器遺跡「捏造事件」 】(元文化庁主任文化財調査官岡村道雄著 山川出版社 2010年10月30日発行)です。決して「旧石器がねつ造された」のではなく、遺跡がねつぞうされたのでした)について、またまた本を読んでしまいましたので、その内容と絡めて、最近気になっている事をひとつ呟きます。

まずその本とは【
検証「前期旧石器遺跡発掘捏造事件」】(松藤和人著 雄山閣 2010年10月30日発行)です。発行日を見ればお分かりのように、著者同士はおそらく同様テーマの本を執筆しているのを知らないままであったのではないかと思われます。この「事件」の張本人は言わずと知れた「ゴッド・ハンド」ですが、前回書いたとおり、私は前著の著者である元お役人(当時はお役人)が最大の責任者だと思っています。そうしましたら、後者の本(「検証」の方)の95ページに次のような文章がありました。『座散乱木遺跡の検証調査の結果をうけ、文化庁は二〇〇二年十二月、国指定史跡を解除する告示を「官報」に掲載した。こうした失態は前代未聞の事であり、国指定史跡のありかたに一石を投じるものであろう。また、本件に関して責任をとった文化庁の官僚の名は一人として聞かない。

そうですよね。前者の本を書いた人はまさに渦中にいたにもかかわらず文化庁から独法研究所に移って6年も過ごし、今では「杉並の縄文人」とやらのくらし(前著奥付による)をしていますもの。

公務員というのは、国宝級の間違った判断をしてもなんらとがめられないが、YouTuebに内緒で動画をアップすると詰め腹を切らなければならないものらしいですね。この辺りを考えていて、偶然にもこのサイトの別の部分で書いた内容に似通った事のある事を発見しました。自分で書いておいて無責任ですが。

それは、かの有名な黒部ダム工事のトンネルで破砕帯にあたり、それを突破する際の話です。当事者の笹島氏は80メートルと予想しますが、勘だから根拠は言えないので学者に責められるわけです。水が止まる事はないというのが偉い学者さんたちの意見だったようです。学者というのはおそらく大学の先生たちを指しているのでしょうから「公務員」なわけです。

しかし、笹島氏の勘の通り水は止まった。そこで、笹島氏は言う訳です。。【それともう一つ、解せないのが、あれだけの学者が地下水は減らないって断言したのが実際には減ったんですが、それをどうして減ったのかを説明に来ないのです。もし来たら、「先生方、学者の説なんてあんまりあてにならんもんですな」と、よっぽど言おうかと思っていましたけど、結局、一人も来なかったんです。】(P-112)

自分が間違った時の取るべき態度というのは、頭でわかっていても実に難しいのですね。今の政権は「野党時代には攻めすぎて反省しているから、今の野党の皆さんはそんなに攻めないで協力してね」なんて言っていますが、そんな虫のいい事はないですよ。もっとも同じ党の前総理宇宙人は遺憾なく宇宙人論理を発揮していますからおんなじですね。

書いていたらまた思い出しました。今朝の読売新聞24面(文化面)の連載「跳ねる(下)」は【世論の曲解
なぜ自民党は大敗したのか】(光文社新書 2009年12月20日)の著者、菅原 琢氏です(この本は昨年の1月1日の欄で取り上げてあります)が、その中で記者(山田恵美)はこう書いています。『「驚かれた理由」は、「退けた“定説”は」「恩師」「による分析だった」からで、「「師の批判は日本的な学問風土に合わない」と非難されもした。が、著書を贈られた当の本人は「すごく喜んでくれた」という。師の口癖は「学者は親殺しをしろ」

なんだか3例とも微妙に違う事を言っている様ですが、私の中ではおんなじです。責任取らずに言い訳本を書く、自説が違っていたことが分かれば口をつぐむ、それに引き換え菅原さんの先生はいいな、という事ですよ。この先生も公務員なんですけどね。







2011年01月01日

あけましておめでとうございます。本年もこの欄をよろしくお願いいたします。

今年は久しぶりに元旦の初詣に行ってきました。左の写真のように、大変なにぎわいの、おとなり「つくばみらい市」にある
関東三大不動尊の一つ、清安山不動院願成寺です。
残念ながら「楼門」は、現在も修復工事中で見ることができませんでした。しかし、それほど広くない境内に並ぶ出店は、そこそこに賑わっているようでした。

ここは、今も昔も筑波に抜ける通り道ですので、よく前を通ったり、立ち寄ったりしますが、元旦にお参りするのは初めてでした。家族みんなの健康と各自の目標達成をお願いしました。少し漠然としていて、お不動さんも戸惑ったかもしれません。

さて、本欄も1999年が開始の年ですから12年目に突入しました。最低でも10日に1回の更新を目標にしてきましたが、最近は少し息切れのような感もありますので、抜本的な改造を考えております。世の中では、ブログ全盛の最近で、それにツイッターも加わり、何か政治経済などの出来ごとへの発言が、1日遅れるだけで陳腐な風に感じられるようですが、土木という「重厚長大」その物を大事にして、流されることなくじっくりと取り組みたいと考えています。そのためにも、本欄での発信を、今以上にして行きたいと考えます。どうかまた今年も、お付き合いくださいますようお願いいたします。
インフルエンザが流行しています。皆さま、十分にご自愛ください。